Daryl Hall 「NYCNY」 (Hall/Fripp) 80 RCA
ホール&オーツのダリルホール。77年録音のファーストアルバムは、キングクリムゾンのロバートフリップのプロデュースです。
フィラデルフィアソウルに音楽的ルーツを持ち、洗練されたブルーアイドソウルを歌う米国人、ホール。プログレッシブロックの求道者ギタリスト、フリップ、英国人。あまりにもタイプの違うミュージシャンのコラボですが、なかなかの好盤に仕上がっています。
黒っぽいメロディーと声を鋭角的なギターで重装備し、独自の風合いを醸す。
互いに自らの持ち味を殺さずに、相手との協調を探って実現している、大人の仕事と言えるでしょう。
ボーカリスト、ソングライターとして溢れる才能を持ちながら、その中庸的な優しい存在感のせいで、「永遠の中堅」といったイメージのホール。
音楽の才能を狂気のレベルまで研ぎ澄まして強烈な存在感を醸す、といった方向には行かず、旧友オーツとの友情を大事にし、「良き」音楽をファンと一緒にエンジョイし、ポップな名曲群を産んでいます。そんな常識人が他では見せたことのない、危うい均衡を露わにしているのが「NYCYC」です。