石川セリ 「霧の桟橋」(荒井由実) 76Philips

最近、70年代後半の日本の女性シンガーのアルバムをアナログレコードで良く聴いています。
南沙織、山口百恵、太田裕美、いしだあゆみ...

情念のこまった演歌でもなく、ラジカルなロックでもない、普通に綺麗な女性の普通の歌は、ふくよかで柔らかいアナログのサウンドが良く似合います。

70年代日本の普通の音楽の充実は、歌謡曲出身の筒美京平とロック出身の細野晴臣という二大作曲家とその人脈が作り上げたと言えますが、「霧の桟橋」は細野のバックアップでデビューした荒井由実の作詞、作曲。アレンジは同じく細野系の松任谷正隆。

内向的な感受性を強く宿していた「荒井」時代のユーミンのメロディーを、少しはすっぱな石川セリがやさぐれて歌う。
表面に現れているアンニュイさ、気だるさは、芯に純粋なプライドを強く孕んでいる証拠に思え、味わい深い聴後感を覚えます。

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