David Bowie 『★』(Bowie) 16Sony

まず、驚かされるのは、「声」です。トロトロです。パワフルなシャウトではもちろんなく、かといって弱弱しいつぶやきでもない。

50年を超えるキャリア。自身が繰り出し続けた様々な作風に対して、自ら見事に答え続けた、超絶技巧ともいえるヴォーカルテクニックは、変幻自在な声色を蓄積させたのでしょう。

遺作とわかっているならば、その集大成として、多彩な引き出しを見せもしたのでしょうが、恐ろしいのは、その引出しが奇跡的な配分でミックスされているところ。

ほとんど、生身の人間の声とは思えない瞬間もありました。この悪魔的な魅力は只事ではない。

自分自身のコアと周辺。主体と客体のせめぎあいを格闘させ続けた、史上最大のカルトが最後に提示したのは、サウンドではなく「声」でした。

この続きをもっと知りたかった。残念至極です。

http://www.davidbowie.com/