The Cure「In Between Days」(Smith)1985Fiction

「売れ線」という言葉があります。一般大衆がわかりやすくキャッチできる意匠をちりばめ、作品の充実よりも大きなセールスを狙う。音楽だけでなく、映画や小説でも「売れ線」という考え方はあります。

しかし、昨今「売れ線」は、退潮傾向にあります。ユーザは、あざとい「売れ線」の存在を熟知し、その浅い戦略に少しウンザリしています。
それよりもアーティストのオリジナリティをリスペクトする傾向にシフトしているでしょう。

パンク期に登場した「ザ・キュア」は、ソングライターであるロバートスミスの独自な感性が特長のバンドです。スミスの感性は、ダークな内省とキッチュなポップ感覚が両立している点にあります。アルバムごとにその両端を行き来してきました。そういう意味で「ザ・キュア」は、全く「売れ線」を求めていないのですが、英国のみならず、米国を含めたワールドワイドで大御所となりました。

「In Between Days」はキッチュなポップ路線。ザクザク刻むアコースティックギターがリズムを牽引し、スミスは粘着質な愛情を歌う。

死後、絶対的なカリスマとして崇められているデヴィッド・ボウイの存在が象徴するように、英国の感性は最大級の賛辞を浴びていますが、「ザ・キュア」のキャリアも独自の感性を磨くことの素晴らしさを実証しています。

Official Website