第18回 座高を計る

春とは名ばかり、まだまだ寒いです(4月16日現在)。
どうしたんでしょうね?

地球温暖化という言葉を信じて薄着に励んでいた(?)のに、この寒波のせいで鼻水が出る、くしゃみは止まらない、目もかゆくなる、被害甚大なのです(寒波のせいじゃない?)。

そんな今月のはじめのこと。

今、話題の3D映画を観ようと映画館へ出かけました。
『ア○ター』という映画です。
監督は○×エメロンというシャンプーのような名前の巨匠です。

2ヶ月くらい前から公開中の映画なので、もうラクに入れるだろうと思って映画館のロビーを覗いてみると、いまだ衰えぬ人気のためか入場券を買い求める人達が長蛇の列をなしています。

一瞬で観る気が失せてしまいました。

ホブソンズのアイスクリームの行列に並んで風邪をひいて以来、並ぶのは大嫌いなのです。(そのくせ「たまごっち」と「ベイブレード」の新作が出たときに並んだことは内緒です)

しかし、この映画を観て、今回の「中年探偵団」の調査報告書を書こうと思っていた私にとって、行列のせいで観ることができないのは大打撃です。

せめて観ていなくても、あらすじくらいは想像しながら書けなければ、一人前の大人とは言えません(?)。
テレビの宣伝等で多少の予備知識はありますし・・・。

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『ア○ター』のあらすじ(案?)

はるか昔、遠い銀河では・・・悪の皇帝が率いる帝国軍の支配下で人々は自由のない生活を強いられていた。
自由を求める反乱軍は帝国軍の目の届かない僻地の惑星パンドラから、自分自身の分身(アバター)を使って帝国軍のレプリカントにゲリラ攻撃をしかけていた。

そんな反乱軍の戦闘員のひとりであるネオ(主人公)は、伝説のジェダイ騎士ヨーダから、アバターの世界こそが真実の世界で、現実と思っていた世界はコンピュータに支配された仮想の世界であると知らされたのだ。

そして、なんやかんやあって(中略)、ネオが惑星パンドラを破壊するとビッグバンが巻き起こり、あらゆる災厄が宇宙中に広がったが、最後に「希望」だけが残ったのだった・・・。
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というのが想像した『アバター』のあらすじです。(あ、アバターって書いちゃったし、あくまでも想像です)

この映画の特徴は、なんと言っても、「3D」でしょう。
(注:食卓と3つの部屋の間取りじゃないですよ。←4コマ漫画「コボちゃん」に書いてありましたが)

最近話題の映画で「3D」じゃないものは、ないというくらいの流行りっぷりです。

過去に話題の3D映画は「ジョーズ3D」、「13日の金曜日3D」くらいしか思い浮かびません。(実のところ自分が観たことがあるのはディズニーランドの「キャプテンEO」(マイケル・ジャクソン主演)だけです。

ヘンな眼鏡を掛けて、ボールが飛び出してくるのを避けたり、捕まえようとした記憶しかありません)

正直に告白すると、「3D」なんて言葉より、「立体写真」とか「飛び出す写真」に親しみを覚える世代なのです。

青と赤で輪郭のダブった写真画像を、青と赤のセロファンを左右に貼った紙メガネで見るのが立体だと思っていますから、今の3D映画がどんなものか想像できないですし、なぜ流行るのかも理解できないのです(観に行けばいいじゃん、というだけの話なのですが・・・)。

立体で星座を見ることができる「星の本」や「ウルトラマン怪獣図鑑」は懐かしいですね。(大人向けの本もありましたが、よくわからないので割愛します)

今の3D映画は、昔のものとメガネの構造が違うようですが、原理は一緒です。

青と赤のセロファンの代わりに、電子的に左右の窓が毎秒60回閉じたり開いたりして、左右の眼に別の動画を見せているのです。
左右の眼から別々に入ってきた情報を、脳が合成して平面のものを立体として認識してくれるのです。
脳ってすごいですね。

3D映画はそんな脳の錯覚を利用しているわけです。

例えば、下の記号

_/_/_/_/

アンダーバーと斜線を並べただけですが、なんだか立体に見えませんか?
しかも、アンダーバーと斜線の長さは同じ長さなのです(ウソですね)。

脳は横方向と縦方向で認識する部位が違うらしく、縦方向をどうしても長いと認識するらしいです。

画像だけでなく、言葉にも騙されますね。
例えば、

『イチロウ君が、風邪をひいて病院に行く途中、牛が「モウ」とないて、「蝶」がヒラヒラ飛んでいました。イチロウ君はどんな病気でしょうか?』

今どきの小学生もやらないようなナゾナゾですが、こんな2行程度の文章で脳はカンタンに騙されるのです。

「盲腸」と答えた方・・・騙されてしまいましたね。
「風邪」が答えと思った方・・・騙されています。
なぜなら、まだ病院で診察を受けてませんので、風邪かどうかなんてわからないのですから。
よって正解は「わからない」です。(出題者の私はイチロウ君が「花粉症」だとわかっていますが)

恋愛も、脳が引き起こす錯覚の一つであるというのも周知の事実です。
スタンダールの『恋愛論』に出てくる「結晶作用」(彼女(彼)に興味を抱くと、想像に想像が結晶のように重なって、キラキラしちゃう。みたいなことです)の例を引くまでもなく、本来見えないはずのオーラが彼女(彼)の周りに見えて、欠点すら長所に思えてしまう。
いわゆる「アバターも笑窪(えくぼ)」というヤツです。
そして、なんやかんやあって、ゴールイン。。。。。
フランスのラ・ロシュフコー公爵によると「よい結婚はあるが楽しい結婚はない」そうです。。。

冗談はさておき(?)
3D映画のみならず、3Dテレビや3Dパソコンなどの機器も登場し始めています。
はたしてこれらの3D機器は一部オタクだけでなく一般に普及するのでしょうか?
たぶん1年後には結果がでていることでしょう。
(iPadに3D機能をつけると一気に普及すると思いますが・・・)

3D映画の話を枕にするつもりが、長々書きすぎて、表題の「座高を計る」について、書くスペースがなくなってしまいました。。。

以下、駆け足で。

知人のO氏から「座高を計るのは日本人だけ」という衝撃的な事実を聞き、調べ始めたところ、「座高(ざかう)の歴史」(帝國大学医学博士有吉龍平著)という昭和12年に書かれた本を図書館で見つけました。

この本には戦国時代に、世界で初めて(!)「座高」が発見されたこと、戦国武将が本陣で使用した床几台をヒントに座高計が開発されたこと、座高が高い(胴が長い)人間のほうが内臓が発達していて優秀であること(「腸(はらわた)の三十尺を越ゆるは快慶なり」と記載)等、驚くべき内容となっています。

さらに驚くべきことは、この本を読んでいる最中に、アメリカでも最近「座高」の研究が始まったという事実を知ったことです。

しかもそれは3D映画の普及が原因なのです。
観客が飛び出す映像の動きにあわせて激しく動くため、従来の椅子では快適に3D映画を観ることができない。新たに3D用の椅子を再設計する必要が出てきた、とのこと。

そこで世界最先端の日本のDr. Ariyoshiの研究成果である「The history of The Sitting height」を参考にしているとのこと。

3D映画と座高。なんという不思議な符合。

まさに春の椿事です。
そして、それもこれもすべて今月の初め、正確には4月1日の出来事なのでした。

ミニ情報:『座高の歴史』は『偽書百選』(垣芝折多著 文藝春秋社 絶版)にも言及されていない稀覯本のようで、ヤフオクでも手に入らないようです。

ミニ情報その2:私は中学生のころ身長のわりに座高が高くて、「座高一(ざこういち)」と呼ばれて裏街道を通学してました。(いらない情報ですね)

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