第21回 バクの話

サッカーワールドカップも終わり、参議院選挙も一気に過ぎ去り、なんとなく寂寞(せきばく)の感があります。。。
不思議なもので、あんなに耳障りだったブブゼラも候補者の絶叫も今となっては懐かしいのです。

それにしても勝者と敗者の差は天と地ですね。
勝った人(チーム)は天国ですが、負けた人(チーム)はしばらく毎晩悪夢でうなされそうです。

ワタシの知人に禁煙外来に通い始めた人がいます。
まず最初に禁煙のために薬を処方されるそうですが、その薬を飲み忘れると悪夢を見るそうです。
(ちなみに知人は、エグザイルのメンバーになっていきなりコンサートの舞台に立つという悪夢(?)を見たそうです)

そして悪夢といえば、貘(バク)です。。。ということで今回はバクの話です(いつものように無理矢理です(笑))。

ここでいっている貘は、実在するウマ目バク科の哺乳類のバクのことではありません。
もちろん岡江さんの旦那様でもありません(爆)。

貘は中国の想像上の生き物で、形は熊、鼻は象、目は犀、尾は牛、足は虎に似ていて、毛は白黒の斑だそうです(想像上の生き物ですが、その全体像は容易に想像できません)。

貘は悪夢を食べるという特性を持っています。
これはいいですね!
一家に一匹欲しいですね。禁煙開始時の必需品です。

話は逸れますが、貘の対抗勢力(?)として日本には鵺(ぬえ)がいます。

ここでいう鵺は、トラツグミの別称ではなく、平安時代に源頼政に射られたという怪獣のことで、頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎、声はトラツグミに似ていたという伝説の生き物です。(こちらも貘同様に想像がつきませんね)

ここから得体の知れない人物を「ぬえのようだ」と喩える慣用句が生まれましたが、けっしてほめ言葉ではないので他人に対して使わない方がいいようです。

また他人からそう言われたときは、その人から好意を持たれていないと判断するのが、大人の対応と言えましょう。

さて、貘は悪夢を喰うだけでなく、野球と親和性の高い動物(?)でもあります。

「野球と貘」と言えば、最近では知らない人はいないはずです。
世間を十分騒がせていますので、あえてここで深くは述べませんが。。。

ほかにも、サイコロと貘、カードと貘、麻雀、パチンコ、バカラにスロット、エトセトラ。

トバクの種類は無数にあります。

偶然が支配する勝負に対して金品財物を賭けると、それは形式の如何に拘わらずトバクなのです。

例えば、

$明日の天気を当てる(天気予想)
$むこうから走ってくる車のナンバーを4つとも当てる(ナンバー4)
$目隠しをして刺身の中から脂がのったマグロを6切れ当てる(トロ6)
$自分の家に火災が発生することにお金を掛ける(火災保険)
$自分の子供の血液型を予想する(単なる疑惑)

などなどトバクに際限はありません。

・・・そしてトバクは人を蝕んでいくのです。

ロシアの文豪ドストエフスキーに「賭博者」という小説があります。
ほとんど筋は覚えていませんが(調べてから書け、という話ですが)、架空の街ルーレテンブルグ(!)で、没落した貴族の女性と主人公の私が、ルーレットにのめり込み、やがて破滅していくというお話だったような気がします。

この小説でトバクの特徴を印象深く示している部分があります。
いつも外れていたルーレット勝負ですが、突如としてツキが舞い降り勝ち出すのです、勝ち続けて結構な金額を手にするのですが、勝っている途中では絶対に止めないのです。

というか、途中で止められない病的な中毒性を鬼気迫る筆致で描いているのです。(と、自信を持って書いてますが、実は不確かな記憶です。間違っているかもしれません。でも、私は正しいほうに千点賭けます)。

賭博は人格を変えてしまいます。
遊びのつもりで始めたとしても、脳内賭博スイッチが入ると取り返しのつかないことになります。

例えば、
海の日だからといって軽い気持ちで、パチンコ店に入り、「海物語」(パチンコの有名な機種のひとつらしいです)を打ち始めます。

同じ数字が3つ揃えば大当たりなのですが、なかなか数字は揃いません。
リーチになったときに魚群が出てきたにも拘わらずハズれた時には、頭に血がのぼり前後の見境がつかなくなります。

興奮状態で台を移動します。

今、流行りらしい「新世紀ヱヴァンゲリヲン」を打ち始めます。
やはり当たりません。数字のリールは回るのですが、発進しません(なんのことか私もわかりません)。
当たりは来ないし、お金は消えていく、でもパチンコを打つ手は止まらない。

自分で自分をコントロールできないという「暴走モード」突入です。
グワ-と雄叫びをあげて、有り金をすべてつぎ込みます。
そして・・・最後の一玉が台に吸い込まれたとき、やっと我にかえるのです(「覚醒モード」)。

冷静になって考えてみると、給料日まであと3週間もあるのにお小遣い0円の自分の境遇を再度自覚するのです。。。(セカンドインパクト)

パチンコを例にありもしないことを想像してしまいましたが、賭博というのは概ねこんなものなのです。
(少しリアルですが、私自身のことではありません)

ときどき人生はギャンブルだと言う人がいますが、それは大間違いです。

ギャンブルという大きなジャンルの中の一つの種目として人生があるわけです(ホントか?)。
(知人の「好きなギャンブルは人生」という言葉にインスパイアされたのですが)

中途半端にいろんな賭博に手を出すよりも、自分の「人生」に精一杯すべて賭けてみる。これに尽きるのです。(って、ドヤ顔をしてみる。でも、ぜんぜん大したこと言ってない・・・)

結論としては、偶然に支配される賭博では勝者はいないのです。日々の選択が丁半バクチのようなものですから、勝ち目のない賭博には手を出さないに限るのです。

ときどき、パチンコ、競馬、競輪、宝くじ・・・など各種の賭博(?)で勝つ人はいますが、その人達も実はトータルで負けています。勝ったままで賭博を止められる人はいないのですから。

あえて、賭博の勝利者をあげるなら、賭博の胴元(賭場を開いている人やお店や国家等)でしょう。
彼らは絶対に負けないという好位置をキープし、強い立場にいるのです。

近畿の子供たちも言っています。
胴元好位置、胴元強し、と。

※夏は苦手です。暑さのせいで頭が働きません。ギャンブルの話題が本メルマガに適切なのかどうかすら、判断がつきません。貘に喰ってもらうしかないようです。。。

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