第24回 秋の夜長

夏の日もいつか過ぎ 山も海も秋です♪広い空、蒼い海 ああ どこまで続く♪

秋ですね。
小学生のころ授業で唄った唱歌を想い出します。
あんなに暑かった夏もいつのまにか過ぎて、朝夕肌寒さすら覚える今日この頃です。

「天高く馬肥ゆる秋」

ほんとうに秋の空は高く澄み渡って、海の深みにも似た青さをたたえています。
青い空の、その奥にまで目を凝らしてみると、昼間でも金星が見えたりします(視力のいい人に聞いた話ですが・・・)。

食べ物も美味しい季節です。気候もよくて、運動会などのスポーツイベントも目白押しです。
「食欲の秋」「スポーツの秋」「読書の秋」「芸術の秋」「あんじぇら秋」・・・こう並べるだけで、秋は心も体も豊かにしてくれます(と、とりあえず書いてみる)。

先日、所用で近くの大学のキャンパスを歩いていたら、いきなりドングリがシャワーのように降ってきました。キャンパス内にポプラや銀杏の並木があるのは知ってましたが、ナラやクヌギの木もあったようです。

しかし、風も吹いていないのに、いきなり十数個もドングリが降ってくるとは・・・。
木の上に熊でもいるのかと見上げたところ、またまたドングリの直撃を受けました。。。

・・・昔、田舎から何の見境もなく、コロコロと都会に飛び出したのですが、慣れない街で「いけない」遊びにハマって、さあ、大変。女性が出てきて、「こんばんは、いっしょに遊びましょ」と言われるがままに、ついつい遊んでしまったのですが、やっぱり都会は水に合わない、田舎が恋しい、と泣いては女性を困らせていたら、その女性の知り合いという男性が出てきて・・・。(ドングリの衝撃で気を失って、へんな夢を見てしまいました)

突然ですが、ここでクイズです。
秋の味覚といえば栗ですが、「栗より美味い十三里」といえばなんでしょう?

クイズというには簡単すぎですね。
正解は「焼きいも」です。

<栗より>が、<九里四里>で、足して十三里なのですね。(一説には、栗より美味いのだから十三里半だとも言われています)
昔の焼きいも屋さんの車にはトレードマークとして「栗より美味い十三里」と書いてありました。
懐かしいですね。

スポーツといえば、相も変わらず、テニススクールに通っております。
もちろん初級のままです。
けっして上達してないわけではなく、素直に世阿弥の教え(初心忘るべからず)に従っているだけなのですが、世間の人は信じてくれません。こんなとき秋風の冷たさが身に沁みますね。

去る9月23日は「テニスの日」でした。
テニススクールでは毎年恒例のボレーボレー記録会(ペアで、テニスボールを地面に落とさないように打ち合い、何分間継続できるかを計測)が開催されます。

初級の場合は40回続けると、スクールから豪華な粗品(?)がもらえるのです。
(「テニスの日」の公式ルールでは3分間継続で三段、5分継続で五段、10分で達人の表彰状がもらえます。100分続くと世界ランキング1000位にランキングされる、というのは未確認情報です)

永世初級の私は、粗品には興味はないので、記録会に対する姿勢は消極的です(と誤魔化してみる)。

ところでなぜ9月23日が「テニスの日」なのか知ってますか?
語呂合わせではないですよ。

昔、天知真理が「あなたを待つのテニスコート♪」(詞 山上路夫)と唄った日が9月23日だったのです(というのはウソですね。曲名も「恋する夏の日」。夏の歌です)。

どうやら、休みの日にみんなでテニスをしようということで「秋分の日」にしたというのが正解のようです(ま、話に深みはありませんが、「秋」繋がりということで勘弁してください)。

日本では古来より秋といえば夕暮れが愛でられています。でもその夕暮れも、釣瓶(つるべ)落としで、あっという間に宵闇に覆われ、しかも夜明けまでが長い。

いわゆる「秋の夜長」です。

「秋」の枕詞は、スポーツ、食欲、芸術といくつもありますが、「秋の夜長」に似合うのは、やはり読書ですね。

「灯火親しむ候」なんて時候のことばもあるくらいですから、こんなときには普段読まないジャンルの本や長編小説に挑戦してみるのもいいかもしれません。

たまには真面目に「秋の夜長」向けの本をいくつかご紹介しましょう。

作品をあげるとしたら、

『あなたの人生の物語』(テッド・チャン著)SFの短編集ですが、表題作の読後の印象は、静かなのに鮮烈です。

『キドリントンから消えた娘』(コリン・デクスター著)モース主任警部が推理の糸を結んだりほどいたり、論理を積み上げたり崩したり、アクロバチックな展開に徹夜必至のミステリです。

『ノルウェイの森』(村上春樹著)喪失と再生の物語(って、再生したの?)。映画化されるみたいだし、IQ84の人の本を読んでないので。

『世に棲む日日』(司馬遼太郎著)幕末を吉田松陰と高杉晋作を中心にして描いた小説。「竜馬がゆく」「花神」「峠」「燃えよ剣」などといっしょに読むと幕末の歴史に詳しくなれる(ような気がする)。

『流れよ我が涙、と警官は言った』(フィリップ・K・ディック著)不条理で恐ろしい近未来の情報社会のなかで翻弄される主人公を描いたSF小説。最近のアメリカ映画で似たパターンが結構あります。

『ガープの世界』(ジョン・アーヴィング著)独特のユーモアと予想外のストーリー展開が面白い(けれど、好みは分かれるのでしょうね)。

作家名をあげるなら、外国人では

<アイザック・アシモフ>ファウンデーション・シリーズ(銀河帝国興亡史)やロボット・シリーズ、黒後家蜘蛛の会シリーズなど、SF・ミステリの傑作が多数あります。

<キング(スティーブン)>ホラー・サスペンスの大御所。『シャイニング』『キャリー』『ミザリー』『グリーンマイル』などの映画化作品を原作で読んでみるのも吉。(って、占い?)

<ノーマン・メイラー>アメリカの小説家・ノンフィクション作家。読みかけの『裸者と死者』が本棚のどこかにあった・・・はず。

<ヨハンナ・スピリ>言わずとしれた『アルプスの少女ハイジ』です。低燃費ピっピっピー。

<ナボコフ>ハイジと来れば、『ロリータ』です。中年だからと言ってコンプレックスがあるわけではありません。

<ガルシア・マルケス>『百年の孤独』。この小説の名前を冠した麦焼酎がありますが、小説のほうが間違いなく酔います。酩酊して先に進めません。ここは読みやすくてミステリっぽい『予告された殺人の記録』がお勧めです。

それにしても、どういう基準で選択してるのでしょう?>自分

それはさておき、日本人作家では、

<浅田次郎>「あ」で始まる作家はいろいろいますが(?)、読ませて泣かせる長編小説を書く作家と言えばこの人でしょう。(薦めているわりには連作や短編しか読んでなかったりしますが)

<北村薫>初期の円紫さんと私シリーズや『スキップ』『ターン』『リセット』の三部作もいいですね。

<乃南アサ>『凍える牙』などの音道貴子刑事が活躍するシリーズがいいですね。

<横溝正史>映画などで有名な『犬神家の一族』の季節はきっと秋でしょうね、菊人形が出てきますから。
『獄門島』に出てくる俳句は、2つは季節が秋だけど、1つが春の句なのですね。「き」が違っているが仕方がない・・・。

<夏目漱石>文豪(ワープロの名前じゃないです。古っ)です。『猫』がお薦めですが、秋の夜長には『それから』とか『こころ』でしょうか・・・。

<が・・・>・・・・・・ないですね。。。

「あはれ秋風よこころあらば伝へてよ。。。」

そんなこんなで秋刀魚も豊漁になって良かったですね。

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