第31回 しょぎょうむじょうな話

今月のテーマは「諸行無常」です。
(いつからテーマ方式になったのか?という質問の受付は先ほど締め切りました)

「諸行無常」といっても、仏教用語を語るわけではなく、もちろん私が悟りを開いたわけでもありません。

近頃、無常感が私の身体に忍び寄ってくるのを感じるのです。
その感じをうまく説明できないのですが、私は、以前からずーっと私の筈なのに、なんだか中身が入れ替わっているような気がしてるのです。
実は外見も変わったような気がします(30年前と比べると)。

福岡伸一氏のベストセラー『生物と無生物のあいだ』でいうところの「動的平衡」ってヤツでしょうか。
行く川の流れは絶えずして、もとの水に非ず、っていうか。
同じ川の中に2度と入ることはできないんだよ、ワトソン君(ワトソン君は何の関係もありません)。

復刻版のテリヤキバーガーの味が昔と違う・・・みたいな。そんな感じです。

んぱつに行って来ました。

なにしろ5月は髪を切るには最適の季節だから。
しかし、その日の理容師さんは遠慮がないうえに、風邪気味のよう。しきりと鼻をすすり上げながら、髪を切っている。時折、咳もしている。
そして、「お客さん、頭頂部があぶないですよ」と遠慮がない。その状態で、アゴからノドにかけてヒゲを剃られると、ドキドキする(けして恋の予感じゃないですよ)。
志賀直哉の短編小説『剃刀』を思い出したから・・・。
確か、こんな書き出しで・・・『髪の毛を切られながら、こう考えた。

刈り上げすぎると、角が立つ。頭頂部に櫛させば、流される。アイパーを通せば、窮屈だ。とかくに人の毛が羨ましい。』というのは真っ赤なウソですね。
その後、どうなったのか?・・・その理容師さんの所行(しょぎょう)は無情なのでした。

るモノが溶けたらしい。

2ヶ月前に「溶けてるぞ」と言った人がいたけれど、「デマだ」「ウソをつくな」という言葉でかき消されていた。
でも、2ヶ月前から溶けてたらしい。逆オオカミ少年状態である。
『オオカミは本当は2ヶ月前に来てました。みなさんにご心配をかけないように黙ってました。オオカミは怖くないですよ。(って石野真子も言ってましたし)。オオカミはこっそり海に流しちゃいました。海は広いし大きいから、ただちにケンコウに害はありません。(・・・何年後かになんかあっても、関係ないし、因果関係の証明できないし)』・・・所業非情である。

っかりしたのは、「アタックチャンス!」と言うと、「アタックチャンス!」と言う。

こだまでしょうか?で、お馴染みの児玉清さんの訃報です。

俳優としての功績も素晴らしかったのですが、読書家としての幅の広さや先見性に感服し、いつも本選びの参考にさせていただいてました。
「パネルクイズアタック25」でも多いに楽しませていただきました。
実は以前、そのクイズ番組の予選会に行ったことがあります。
100人くらいの参加者が20問くらいのペーパーテストをやって、上位10人くらいが番組スタッフと面接。面接は自己紹介&どれだけアタック25に出たいかのアピール、そして質疑応答という内容でした。
その後、合格通知のハガキが届き、その日から1年の間に、番組から出場の案内が来れば、晴れて本戦出場となるのです。
十数年前の合格ハガキを手に、ずーっと待っているのですが、当然のことながら出場案内は来ません。書状無効です。

ー、訃報といえば、スーちゃんが亡くなったのもショックでした。
キャンディーズは我々(?)の青春でした。

「8時だよ!全員集合」でジャージ姿で前転したり「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」で悪ガキ10円ハゲヅラをつけてコントをしたりするちょっと年上のお姉さんでした。
年下の男の子(!)だった私に、春に最初に吹く強い風が「春一番」だと教えてくれましたし、「暑中お見舞」は立秋前までに送るものだと注意を喚起してくれました。
「アン・ドゥ・トロワ」を覚えてフランス人のお友達もできましたし、悪魔もやさしいことがわかりました。
キャンディーズの三人が揃ったところをもう見ることができないのは非常に残念です。

今だから言えますが、その当時のキャンディーズのファンというのは一枚岩ではなく、ラン派、スー派、ミキ派に分かれて内部闘争を繰り広げていたのでした。
誰がセンターポジションを取るか決める総選挙では、買収、供応、威嚇、懐柔、内紛の暗闘が繰り広げられ、超過激派は「ミキをはずして、ケイを入れろ、ラン・スー・ケイで語呂がいい」という始末だったのです。始終武闘でした。

るんが。というのは、ありとあらゆるエネルギーを吸収して成長する宇宙から来た風船怪獣(?)です。
30年以上前の特撮テレビ番組「ウルトラQ」に登場しました。
「ウルトラQ」は、なんの前兆もなく怪獣や超常現象が出現し、混乱、翻弄されているうちに、やがて意外な方法で解決したり、解決しなかったり(この方が多い)、中途半端なさざ波を少年の心に残すのが特徴の番組でした。
このバルンガも、理由もなく電気エネルギー、運動エネルギー、台風のエネルギー等を取り入れて巨大化する得体の知れないヤツで、停電で市民生活を大混乱に陥れましたが、節電の方法とその重要性を教えるといった意味では教育的な怪獣でした。
このように中年になっても、ことあるごとに記憶によみがえる「ウルトラQ」は私のバイブルです。
その「ウルトラQ」がこの夏に総天然色で復活するのです!(当時はもちろんモノクロ)しかもDVDとBlu-rayのBOXで。ああ、悩む。。。買うことは決まっている(!)けど、プレイヤーを持っていないのにBlu-rayDisc版が欲しいから。。。思考無能。。。

くなもんじゃねぇ、って唄があったけど、思わず「ろくなもんじゃねぇ!」って言いたくなるようなことが多い。
ぼやき出すとキリがなくなりそうなので、具体的なことはここには書かないけど。なにより、この文自体が「ろくなもんじゃねぇ」と言われそうだし。
自縄自縛。(とっくに「諸行無常」と語感の類似性がなくなってるし・・・orz)

しみつ時に不意に目が覚めた。なにやら遠くから琵琶をかき鳴らす音と唸るような声が聞こえる。

『祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰のことわりをあらわす おごれるものは久しからず・・・』
きっと流しの琵琶法師が『平家物語』を語っているのだろう・・・と思って聞いていると、
『祇園芸者の怒鳴る声 強欲非情の響きあり さらし木綿の顔の色(以下自主規制)・・・・』
これは筒井康隆先生の『乱調文学大辞典』の【平家物語】の項に書いてあった・・・。たぶん、これは夢だな、と気づいて二度寝。
この原稿の締切が過ぎているにもかかわらず、深~い眠りについてしまいましたとさ。諸行無常。あぁ無情。

※筒井康隆最近の本『現代語裏辞典』では、【平家物語】の項は「続編は「源氏物語」。」と記載されています。

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