第45回 プロかアマか

まもなく四年に一度のスポーツの祭典、夏季オリンピックが開催されます。
今回の舞台はロンドンですが、7月20日現在イマイチ盛り上がりに欠けるような気がします。

不景気だからでしょうか?豪雨と猛暑を繰り返す嫌な天候だからでしょうか?

節電したら増税のオマケがついてくるからでしょうか?

たぶん、大会マスコット「ウェンロック」君が不気味だからでしょうね(「ウェンロック」君はゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじの親戚です。たぶん)。

とはいえ、日本人メダル第一号誕生を合図に一気に盛り上がることでしょう(と勝手に予測して、オリンピックの開幕を待つことに致しましょう)。

オリンピックと言えば、以前はアマチュアスポーツの祭典でした。

賭け事の対象となるスポーツをプロスポーツと呼ぶのなら(?)、お金と関係のないところで純粋に技と体力を競い合うのが、アマチュアスポーツであり、オリンピック精神の真髄なのでした。

その精神は人々の心の琴線に触れるもので、オリンピックの発展に大いに寄与したのでした。

本来、人はお金に汚いのは嫌いです。「ダイアモンドに目が眩んで金持ちの男と結婚する」などはもってのほかです(例が古いですね)。
本来、人は卑怯な行為は嫌いです。「勝っても負けても潔い」この「潔さ」を重んじます。
「清く正しく美しく」という精神を重んじます(あれ、これは宝塚歌劇団?)。

「武士は食わねど高楊枝」なのです(単なる見栄っ張りか?)。
あるいは「あの葡萄は酸っぱいからいらない」、「豚に真珠も猫に小判もいらない」、「割れ豚と閉じ豚の似合いの夫婦の清貧生活」なのです(若干、意味不明の例がまじりましたが、気にしないのがアマです)。

そんな爽やかなオリンピックでしたが、1974年にオリンピック憲章の「アマチュア」という言葉が「アスリート」という言葉に置き換わった途端に様相が変わってきました。(というか、先に実態が変わったので、後追いで「アマチュア」の文言を消したのでしょう。)

勝者は名誉だけではなく、金銭的な成功も求めるようになりました。
人目をはばかることなく金メダルを囓るのは、金の含有量を確認するためなのです。

競技用のシューズにキスをしたり、ユニフォームを不自然に伸ばしたりするのは、スポンサーのロゴをテレビに映すためなのです。

思えば、ドイツのダスラー兄弟が仲よく靴屋さんをしていれば、こんなことにならなかったかもしれません。

喧嘩別れしたダスラー兄弟は、それぞれアディダスという会社とプーマという会社を設立し、互いに相手の会社を出し抜くために、有名なサッカー選手に靴を無償で提供したり、有力な陸上選手に靴やユニフォームを提供したのです。

このあたりから、アマチュア精神の存続に危険信号が灯りはじめたのでしょう(というのは『アディダスvsプーマ』(ランダムハウス講談社)という本の受け売りです。正確な情報を知りたい方は書店でお求めください。ってステマじゃないですよ。私はあくまでアマチュアです)

ま、そんな難しい話をしたいわけではなくて、いわゆるプロフェッショナル(以下、プロ)とアマチュア(以下、アマ)の境目はどこなのかを考えてみたいのです。

いろいろな世界にプロとアマがいますが、やはりわかりやすいのはスポーツの世界です。

◇野球・・・これが一番わかりやすいですね。プロ12球団以外はすべてアマです。あっ、独立リーグもプロですね。

おそらくD○NAベイス○ーズより強い高校野球部がありますが、アマです。
飲酒喫煙を高野連から隠し通せると思っている高校野球部がありますが、アマちゃんです。

◇サッカー・・・Jリーグとなでしこリーグはプロです。それ以外はすべてアマです。

例外的にキャプテン翼とその仲間達は子どもの頃からテレビに出演しているのでプロです。
イナズマイレブンについてはよくわかりませんが、セブンイレブンはプロです。

◇ゴルフ・・・プロテストに受かるとプロです。レッスンプロもプロです。

オープンな大会にはアマも参加できますが、優勝しても賞金はもらえません。
賞金ほしさにプロに転向するとなかなか優勝できません。

フジサンケイプロアマ大会に参加できるアマはプロ芸能人です。
ちなみに石川遼はスピードラー○ングのプロです。

◇レスリング・・・プロレスの団体に所属しているとプロです。それ以外はアマです。

アントニオ猪木はプロですが、アントキの猪木は芸人です。
浜口京子はアマですが、父はアニマルです。吉田沙保里はアル○ックです。

◇テニス・・・プロテニス協会に所属している人はプロです。

サーブやストロークの時に雄叫びをあげて相手を威嚇するのもプロです。
錦織圭は現役プロですが、松岡修造と杉山愛はマリオテニスのプロです。
ちなみに「エースをねらえ!」のお蝶夫人は、夫人と言いながら、未婚の高校生です(有名な話ですね)。

◇ボウリング・・・服の背中に名前を入れている人はプロです。

◇登山家・・・しっかりと装備をしてテレビのスタッフと登るのはプロです。

装備が未熟なのはアマです。プロの捜索隊に助けてを求めることになります。

山ガールについていくのは単なるストーカーです。

◇サイクルスポーツ・・・チームに所属して、ツール・ド・○○に参戦するのはプロです。

主たる参加レースがママチャリ耐久レースの場合はアマです。
駅前に自転車を駐めるときに鍵を一つしか掛けない人はアマです。その自転車を目敏く見つけて、持ち去る人はプロです。サドルだけ持ち去るのは単なる好事家です。

◇フィッシング・・・バスフィッシングの協会に所属しているのはプロです。

漁協に所属して所有する漁船で漁に出るのも、もちろんプロです。それ以外はアマですが、例外的に釣りキチ三平と松方弘樹と梅宮辰夫はプロです。海に素潜りして漁をするのはアマです(海士・海女)。

以上、ごく一部ですがスポーツのプロ・アマの境目を確認してみました。境目は比較的わかりやすいものです。
(※あくまでも個人の感想であり、実際の効果を約束するものではありません)

その他の分野にも眼を配ってみましょう。

◇将棋・囲碁・・・日本将棋連盟や日本棋院に所属している棋士がプロです。

それ以外はアマです。
以前は、真剣師という掛け将棋を職業とする人がいたようですが、今はいないそうです。(『真剣師小池重明』(幻冬舎)でその実態の一部がわかります)

◇落語家・・・落語協会、落語芸術協会、立川流、円楽一門会等の団体に所属しているとプロ。

でも、前座は落語をやってお金を貰えるわけではないので、二つ目・真打ちこそがプロと言えそうです。それ以外の人はアマです。人生の落伍者は別な意味でプロです。

◇小説家・・・編集者から原稿の依頼を受けるのがプロ。出版社に原稿を持ち込むのがアマ。自費で本を出版するのもアマ。瀬戸内寂聴も尼(笑点か?)。

◇役所と民間企業・・・役所がプロ。民間企業はアマ。役所からのアマ下りが問題になることがあります(笑点か?!)。

◇玄人(くろうと)と素人(しろうと)・・・一般的に玄人がプロ、素人がアマ。

プロかアマか判断に迷うのが玄人跣(くろうとはだし)。玄人がはだしで逃げ出すほどの技量を持つ玄人顔負けの素人。ちょっと話はズレますが、店の呼び込みに「うちは素人ばかりですよ」と話し掛けられて、必ず騙されるオジサンはアマ。

◇黒子(くろこ)さんと白子(しろこ)さん・・・語感から行くと、黒子さんがプロのように見えるが、ロゼット洗顔パスタを愛用して色白の白子さんがプロ。

ウン十年前の、色黒の黒子さんと色白の白子さんのテレビCMは今なら絶対に放送されそうにない。
なお、黒子とグレ子については欽ちゃんファミリーを参照のこと。

◇生ビールと瓶ビール・・・暑い日によく冷えているのがプロ、ぬるいのはアマ。(あれ?)

◇酔っぱらい・・・いくら呑んでも酔わないのがアマ、たくさん呑んで酔っぱ
らい、記憶のみならず人として何か大切なものまで飛ばすのがプロ。(あれ?)

・・・
なんだか混沌としてきました。

総じて言えるのは、権威として認められたり、権威の後ろ盾となる団体に所属しているのがプロでしょうか?
あるいは、引退できるのがプロで、引退する必要がないのがアマでしょうか?

私自身は何のプロでもなく、何かのアマを名乗るほどのものでもありません。

でも、プロでもアマでもない状態はちょっと寂しい・・・。

そこで、6月のとある雨の日曜日にアマチュア無線技士の国家試験に挑戦しました。

国が認定するアマチュア、すなわち「プロのアマチュア」(「アマチュアのプロ」?)と名乗ることができるのです。これは夢のようです(大げさですね。。。)。

アマチュア無線技士の資格は1級から4級まであります。
小学校低学年でも受かるという4級は、さすがに恥ずかしい(小学生に囲まれて試験を受ける中年オヤジという情景が目に浮かびます)。

でも、1級は難しそうです。なので折衷案(?)として小学校高学年でも受かるという3級を受験することに決定。
前日の土曜日に勉強することウン時間。

そして、試験当日、会場に行ってみると40名ほどの受験者が。。。
でもその中に小学生の姿はありません。せいぜい中学生?がひとりふたり。
年齢層はバラバラで男女比もほぼ拮抗。若い女性もいれば、おじさんもいます。

2ヵ月に1回程度の試験と考えると、結構人気のある試験なのかもしれません。

みんな「プロのアマチュア」を名乗りたいに違いない。人間誰でも権威に弱いのだ(って、その考えは間違えだから)。

試験官の機械的な説明のあと、試験問題が配られると、受験者は一斉に問題を解き始めた。

私は問題を見て、頭の中が真っ白になった。
小学生でも受かるといっても、ウン時間程度の勉強では厳しいのだ。。。

「プロのアマチュア」への道はアマくない。

※以上、あくまでも個人の感想であり、実際の効果を約束するものではありま
せん。(なんのこっちゃ)

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