第50回 師走のこころ

気がつくと、今年も師走となりました。
11月30日まではフツウに過ごしてきたのですが、なんだか急に慌ただしいです。

気もそぞろで落ち着きません。
実際には急ぐことなど何もないのに、そわそわします。
なぜでしょう?

たぶん「師走」という漢字と「しわす」という語感のせいに違いありません。

「12月」だけ、なぜか当たり前のように「師走」と別名で呼ばれています。
誰も「霜月になりましたねぇ」とも言わないし「文月も半ばになると暑いね」とは言わないのに、「師走」は完全に市民権を得ています。「師走になったら急に忙しいね」「師走は寒いね」「師走でごわす」(by西郷隆盛)「シワーッス!!」(byウルトラマン)などなど。

「師走」の語源は、「師が走る(ほど忙しい)」というのが通説です。
(注:語源辞典やwikipediaでは他の語源もたくさん書かれていますが、ここではスルーします)

その「師」というのが、「先生」ではなく「お坊さん(師匠)」というのも浸透していますが、今年について言えば「先生」が走るというのが正解のようです。

もちろん学校の先生ではなく、代議士先生ですが。。。
(「山田クン、座布団一枚!」)

それにしても「しわす」に「師走」という漢字を充てたのは誰でしょうか?
この「走」という字が、年末の雰囲気をよく表していると同時に「忙しい感」を助長しているとしか思えないのです。

例えば、
・「走」が「和」だったら、「師和す」。
(なんだか穏やか気分になります。「す」が余計ですが)

・「走」が「忘(わす)」だったら、「師忘」。
(忘年会シーズンですから。でも、物忘れの激しい先生のようです。公約なんかすぐ忘れちゃいそうです。。。「山田クン、座布団一枚!」)

・「走」が「斜(はす)」だったら、「師斜」。
(先生が斜(はす)に構えちゃってます。年末に開き直った感が漂います。先生の開き直りは、ある意味ワイルドだろぅ!?。。。「山田クン、座布団全部持ってって!」)

・「走」が「外(はず)」だったら、「師外」。
(歳末商戦の抽選会で外れそうです。先生がハズレは拙いです。手ぶらで帰らせるわけにはいきません。。。オチもありません)

こんな慌ただしい師走の初めに、私の手許に「Kindle PaperWhite 3G」が届きました。

電子書籍の普及が囁かれ続けて数年、すでにアメリカではAmazonのKindleが普及していますが、日本ではソニーのReaderが電子書籍の専用端末として先行しているものの、盛り上がりは今ひとつでした。

今年の後半になって、楽天のKobo TouchとKobo glo、GoogleのNexus7、AppleのiPad miniなど電子書籍を読むのに最適な端末が次々と発売されて市場が少しずつ盛り上がってきました。

そして10月24日、黒船Amazonが満を持して日本版Kindleストア(電子書籍のお店)オープンとKindle日本語版の発売を発表したのでした。

新しもの好きの私としてはNexus7もiPad miniも気になるところですが、Kindle日本語版が最も気になるのです(なぜかKoboは気になりません。漫画「コボちゃん」は好きですが)。

しかし、なにを隠そう私はすでに2台のKindleを保有してるのでした(過去に書いたかもしれませんが)。
Kindle keyboardとKindle Fireの2機種で、いずれもアメリカのAmazonから直接買ったものです。

せっかく苦労して買ったのですが、彼らは日本語は得意ではありませんし、私は英語が得意ではありません。

当然の帰結として、異文化の衝突とギャップが生まれました。
お互いに意地を張り合い、睨み合いが続きました。(単に英語がわからないので、途方に暮れていただけですが)

しかし、冷戦を続けていても成長はありません。グローバルな平和のためには、互いの歩み寄りが必要なのです。
数度の話し合いの末、和平条約が成立し、私自身が英語を覚えるより、彼らに日本語を教えるという道が選択されました。

そして手取り足取り日本語を教えた結果、今では彼らは日本語を上手に操るようになり、日本語電子書籍を読むのになんの不自由もない状態になりました。

なので、新しい日本語版Kindleは私には必要ないはずです。

元来が電子書籍を読む手段としての端末なのであって、すでに手段があるのなら、新端末を買う代わりに新しい電子書籍を購入すべきなのです。

手段と目的を間違えてはいけません。。。と理性ではわかっているのです。
が、新しモノ好きの私の血が騒ぎます。

Nexus7やiPad miniに浮気するならまだ許されそうですが(?)、日本語版Kindleに心を奪われるのは、もはや浮気とは言えません。

誰にも頼るすべのない異国で心細い思いをしている外国人妻を捨てて、日本人と再婚する!?(オレはKindleと結婚してたのか?、2台だから重婚か?、でも実態は単なる同棲だったのでは?・・・って、問題はそこか?)

倫理的に許されないと思えば思うほど、日本語版Kindleへの思いは募り、一晩悶々としたあげく、Amazon発表の翌日の10月25日に「Kindle PaperWhite 3G」をポチッとしたのでした・・・(早っ)。

以上、Kindle不倫二股乗換事件の顛末です(ウソ)。

ところが、なんと一晩悩んだばっかりに、11月19日発売予定のKindleが配送されるのは「12月16日~18日」と約2ヶ月も先。予約が殺到したのでしょうね。

前日にポチッておけば、11月19日に手に入ったかもしれないのに・・・外国人妻に対する無用な同情が・・・って、このくだりはもういらないですね。

そんなこんなで日々を過ごしていたところ、11月中旬にAmazonから「配送が少し早まりました」とメールが来て、師走の初めに「Kindle PaperWhite 3G」が手許に届いたのでした。

「Kindle PaperWhite 3G」は電源ボタン以外のボタンは一切なく、画面にタッチして操作する方式で、その操作性にはストレスはありません。

しかも前作より解像度の高いライト付きディスプレイになったので、画面が綺麗で暗いところでもどこでも読書ができるように進化しました。

ライト付きでも電池の持ちは8週間(カタログ値ですが)、電池切れを気にしなくていいのが専用端末のいいところです。

今回はDOCOMOの3G回線有りのKindleを選択してみました。
3G無しより五千円ほど高いのですが、どこにいても本が買えるのが魅力ですし(すでに電車で移動中に一冊購入済み。Amazonの罠に嵌ってる・・・)、Docomoの回線使用料が永久に「タダ」という魅力には抗えないのでした。

本を買う以外に出先でちょっとメールをチェックしたり、ネットで調べ物をしたり、ってこともできそうだし。と、思っていたのですが、そうは問屋が卸してくれません。

Kindleストア以外で3G回線を使おうとすると、「Wifiに接続してください」と冷たく言われるのです。。。無情です。

一時は自分へのクリスマスプレゼントと思って12月中旬まで待つつもりでいたKindleですが、早く届いたうえに3G無料使用し放題の目論見が外れて、なんだか気が抜けてしまいました。

師走の寒さが心にまで沁みてきます。

そんな時、ぼんやり視ていた笑点で「師走のこころは母ごころ」と林家木久扇師匠が言いました。
(元ネタはマリリン・モンローにも指圧をしたこともあるという浪越徳治郎氏(故人)の「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く」。若い人には何のことやらわからないでしょうね。。。)

木久扇師匠の言葉に励まされて、改めて2012年の自分へのご褒美をネットで注文したのでした。

今度こそ自分へのクリスマスプレゼントです。

何を注文したかという話は・・・近いうちに。(なんのこっちゃ)

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