第66回 四月になれば、○○は

3月末の深夜、私は24時間営業のスーパーマーケットにおりました。

目的はただ一つ、0時になる直前にレジに入り、日をまたいで会計したときに、消費税がどうなるか?これを確かめるためでした。

牛乳と卵ともやしを買い物かごに入れて、ドキドキしながら23時59分にレジに行きました。

深夜バイトの若者がにこやかに「いらっしゃいませ」と言うと同時に、物凄い勢いで品物をレジに通します。

私は内心あせりました。
「まずいっ!この勢いだと、0時前に会計が済んでしまう。。。もっとたくさん買えばよかった。。。チロルチョコ10個とか、蒲焼さん太郎10袋とか、よっちゃんイカ10本とか。。。」

私の焦りを知ってか知らずか、レジの若者はもやしのバーコード読み取りに一瞬手間取ったものの、すんなり0時前に会計を済ましてしまいました。

思わず「消費税5%で通過してしまったか・・・」と独り言を言うと、それを聞いた若者が「あと1日、5%ですよ」

「!!」

そんな見え透いたウソをつくのか、この若者は。
「それはエイプリルフールですか?」と私。
「いえ、まだ4月1日じゃないですよ。今、3月31日になったばかりです」と若者。
「えっ!3月って、31日まであるんですか?30日で終わりだと思っていました・・・」

というウソをつこうと、準備をしていましたが、3月31日にウソをついてもエイプリルフールとは全く関係がないので止めました。

そして、何事もなく4月1日になって、新年度が始まりました。
消費税も無事(?)8%になったようです。

増税前にもやしを買いだめしましたが、一袋27円(税抜)のもやしを10袋買ったところで、増税後との差は10円しかありませんでした。しかも、もやしは日持ちしないので、急いで食べなければいけません。

結局、もやしの炊き込みご飯に、もやし炒めともやしサラダ、デザートにはもやしジュースというもやしのフルコースを食べる羽目になってしまいました。

というウソは、インパクトがないですね。
やはり、根が真面目なのでウソはつけないものですね。(というのがウソ?)

それにしても、新年度の始まりの4月1日がなぜエイプリルフールなのでしょう?

入社式や年度スタートの公式行事などが目白押しのこの日に、公然とウソをついていいのは、かなり致命的な問題なのではないでしょうか?

以前にも考察したことがありますが、敢えて問いたい。
なぜエイプリルフールは四月馬鹿なのか?と。

ある会社の社長さんが、4月1日に「新入社員は、朝早く起きて新聞をスミからスミまで読んで、誰よりも早く出社して、先輩社員が来る前に掃除して云々」という内容のブログに書いたところ、反響が大きくなりすぎて(どんな反響かはわかりませんが)、ブログの内容はエイプリルフールです、と追記したそうです。
(その社長さんの本音だったかもしれません)

その後、その社長さんは4月3日に「新入社員は堂々と遅刻してかまわない。新聞なんか読む必要はない。スマホで気になったニュースをチェックするだけでOK。新聞を読んでる先輩に、まだそんな古いメディアに縋り付いているのか?と言いいなさい云々」というブログを書いてました。

これが本音と言わんばかりに。
(でも、そのブログの最後尾に「エイプリルフールはまだ続いています」と)

結局、ウソも本音も言いづらい世の中になってしまったのだなぁ。とエイプリルフールに思ったのでした。(以上、ヤマなしオチなしイミなし)

さて、前回、大樽ビール工場(仮称)でビールの醸造体験をしたお話を書きましたが、4月6日にその発表会を兼ねた大試飲会がありましたので、そこに行ってきた報告をさせていただきます。

50組を超えるチームが参加したビール醸造の結果が出るとあって、その日の大樽ビール(仮称)は例年大賑わいです。

11時半開場、12時スタートと連絡を受けていましたが、正直にその時間に行くと、大混雑で席が取れない可能性もあります。

我々グループはちょっとだけ早めに、9時半に大樽ビール(仮称)に集合しました。

さすがにちょっと早かったようで、大樽ビール(仮称)のスタッフの皆さんが、準備に大わらわの最中でした。
(新入社員の皆さんは約束の2時間前に到着するようなマネをしてはいけません。5分前行動に徹しましょうね)

当然、我々も9時半は早いという認識はありました。ええ、常識ある社会人の集団ですから。

なので、場所だけ確保させていただければ、それ以上大樽ビール(仮称)に求めるものはありません。

でも、開場まで2時間もあると時間を持て余すので、取りあえず食べ物は持参しよう(朝食食べてないし)、折角だから、缶ビールやワンカップも持ち込もう、と一瞬、考えたのでした。

「しかし、待て!これから大樽ビール(仮称)というビール醸造施設に行くのに、ほかの会社の作った酒類を持ち込むとは何事だ!!我々は常識ある行動を取ろうぜ」とリーダー格のNさんが我々の誤った行動にストップをかけました。さすがは常識人Nさんです。

でも、空きっ腹にビールは酔いが早く回る懸念があるので、朝食だけは持参したのでした。

朝食のサンドイッチはMさんの奥様の手作りで、とても美味しく、サラミやチーズがこれから飲むビールへの期待を膨らませるのでした。

途中のコンビニで買ったバタピーやポテトチップスの塩味は、ビールへの渇望に拍車をかけるのでした。

「ここはビール醸造所だから、まだ早いけど、ちょっとだけビールをもらってもいいんじゃないか?」と言い出したのは、誰あろう常識人Nさんです。

「ビールサーバーのところまで行けば、準備中だけど、たぶん貰えるよ。ちょっとだけだから。ちょっとだけ」さすが場末のキャバレーで女の子を口説き慣れている常識人Nさん、こう言うが早いか、ビールサーバーに向かっていきます。

「ちょっとだけ、ビールください」というNさんに、気圧されたのかスタッフは
「は、はい。きょうの季節のビール、ヘレスビールでいいですか?」との返答。

すかさずNさんは「じゃあ、マースで」(注:マースとは1リットルサイズのジョッキのことです)
全然、「ちょっと」じゃない。。。さすが常識を超えた常識人Nさん。
我々にはNさんに倣って、ビールを頼むしか道は残されていませんでした(!?)。

というわけで、9時半から始まった酒盛りは、正式スタートの12時までには完全に出来上がり、多数の素面のお客さんの前で、十数回目の「乾杯の唄」を披露するハメに陥ったのでした。

サルサの生演奏をBGMに飲み続けていた13時。50組超の醸造体験ビールの審査が終わり、審査発表前に全員が試飲できる時間がやってきました。

我々の作った醸造所No.13「タコビール」(英文名Octopus Beer)はどんな具合かと、早速試飲してみました。

小さな試飲用のカップに注がれた濃いドンケルタイプのビールは、深い輝きを放っていました。

一口、口にするとスッキリしながらもコクがあり、キレがあるのに芳醇、山があるのに谷もある、西を向いたら尾は東、右を向いても左を向いても世の中真っ暗闇じゃあござんせんか(後半、酔いのため意味不明)。

これは「もらったぁ!!優勝間違いなし!!!」思わず、大声で叫ぶと、あちらでもこちらでも、「うん、間違いないこのビールが優勝だ!」とみんな自分の作ったビールの前で自画自賛をしているのでした。
(ま、誰でも、自分の子供と隣の奥さんは可愛いと感じるものですから)

そして、14時、運命の時間がやってきました。審査の発表です。
特別賞各賞が発表されて、(非)常識人Nさんのビールは特別賞を受賞しました。

いよいよベスト3の発表です。
3位、2位と発表されて、残るは優勝のみです。

私は優勝するのは「タコビール」しかない。という妙な確信はありましたが、自信はなかったので、発表会場の最後部におりました。

「優勝は、醸造所番号。。。。○○番、○○ビールです!!」

ワァーという歓声でよく聞き取れません。
前のほうを見るとチームのメンバーが私を指差して、何か言いながら手招きしています。大きく手を振って呼ばれているようです。

「えっ!本当に優勝か??」これで、急いで走っていくと、「ああ、騙されてやんの。エイプリルフールだよん」とか言われるのではと、慎重になりつつも小走りで前列へ急ぎました。。。。。

「4月になれば彼女は」は、映画「卒業」の中でサイモン&&ガーファンクルが歌っていた短いけれど素敵な曲です。

4月に出会った彼女と5月6月と愛を深め、やがて別れが来て、半年後の9月にはその思い出さえも色褪せるという内容の歌詞でした。

卒業してこの4月に社会人になった新入社員の皆さんには、好奇心と常識を併せ持っていただいて、半年で会社への思いが色褪せることがないように頑張ってほしいと思います(ある会社の社長の4月1日のブログより転載)。

そんなわけで、エイプリルフールと言われない様に、新年度も頑張ってこのコラムを書いていきたいと思います。

えっ!今回が最終回ですか?
は、初耳です。美人編集長からは何も聞いてませんでした。。。orz。
醸造体験の件、最後まで書きませんでしたが、実は「タコビール」が優勝したんです。。。
(さて、最後の3行の中にウソがあります。どの部分でしょう?)

201404f