第114回 2021年 うしの件

新年あけましておめでとうございます。
なんとも釈然としない年末年始(というかここ数ヶ月)ですが、新年ですから気を取り直して新たな気持ちでスタートしようと思います。

今年は丑年ですね。
「丑年」と書いて「うしどし」と読みます。
丑はたぶん牛でしょうね。と、牛に関するこれといった話題がないことを隠しつつ、何件か書いてみます・・・。

一件目
中学生の頃、授業中に「牛に引かれて善光寺」という諺(?)の意味を先生から質問されて、「牛に轢かれて亡くなって、善光寺で葬式をあげました」って答えた友人のことを思い出しました。
あの友人はどうしていることやら、と思い出を反芻してみました。

二件目
「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉を知ったのは高校生の漢文の授業だったと思います。
中国の戦国時代、強国・秦に六つの小国が隷属するのか、それとも六国で同盟を組んで対抗するのか迷っていた時に、口のウマい誰かが言った言葉だったと思います(違うかな)。
意味は「小さい組織のトップでいるほうが、大きな組織の下っ端になるよりいいんじゃないの」というふうに理解してましたが、ある程度の年齢になると「牛後」になるのも大変だと気づくのでした(現実は「鶏尾」)。

三件目
実は「牛」で、最初に思い浮かんだのが、焼肉と「吉〇家の牛丼」でした(なんとも情けない)。

子どもの頃、牛肉を食べたことはありませんでした。
昔は家庭が貧しかったというのもあったし、牛肉が一般的でなかったような気がします(あくまでも個人の感想です)。
肉と言えば、鯨肉と馬肉(どちらもフライで食べたような気がする。硬かった。。)、焼肉と言えばジンギスカン(羊肉)で、やっぱり硬くて、クセがあったけどごちそうでした。

鶏肉はパサついたイメージで好き嫌いは特になく(焼き鳥は好きでした)、豚肉はごちそうでした。
特にトンカツはごちそうで、街の食堂で食べたのがカツライスでした(今にして思うとソースカツ丼のようなもの)。
すき焼きも肉は豚肉で、それが当たり前だと思ってました。
でも、丸美屋の「すき焼きふりかけ」の袋には、青空と山を背景にした牛の絵が描いてあって、すき焼きって、もしかして牛なのかもという小さな疑念が浮かんだのも事実でした。

少年漫画によく出てくるごちそうの「ビフテキ」というのは、「ビフテキ」という固有名詞の食べものと認知してました。
(ちなみにマンガに出てくる「鰻重の上」を、「鰻重のうえ」と読んで、ご飯を食べずに鰻だけ食べる贅沢さと解釈していた・・・)。
その後、成長するに従って「ビフテキ」というのは「ビーフステーキ」のことらしいと認識し始めましたが、食べたことはありませんでした。(「ビフテキ」はそのままフランス語でステーキとの説あり。って、どうでもいいんですけど)

そして、生まれて初めて牛肉、いやビフテキを食べたのは、大学受験の前日でした。
その日の食卓には、私の前にだけ、見たことのない大きさの焼肉の塊とトンカツが並んでいました。
その焼肉がどうやらビフテキで、トンカツと一緒に食べることで「テキにカツ(敵に勝つ)」という語呂合わせだったようです(「敵」って誰?)。
それにしても、ひとりでは食べきれない量の肉群です。
でも「スタミナをつけて、敵に勝ってくれ」という両親の祈りが痛いほどわかったので、ふだん食べたことがない量の肉をムリして食べました。

その結果、お腹を壊しました。敵を下したのです(しょうもない・・・)。
さらに受験会場となる大学の正門の前でツルツルの氷に足を取られて思い切り滑って大転倒しました。。。おしまい

四件目
「吉〇家の牛丼」を初めて食べたのは大学2年の時でした。
アルバイトで懐が温かくなっていたのか、その頃札幌に一店舗しかなかった吉〇家で「牛丼」を食べたのでした。
並盛り一杯500円でした。
「こんな美味しい牛丼を500円で食べられるのはうちだけだよ」と店員さんに自慢されましたが、牛丼の味も適正価格もわからない当時の私は二度とそのお店に行きませんでした。
その後、しばらくして閉店してしまったようです。

五件目
小松左京の短編に「くだんのはは」という怖いお話があります。
内田百閒には「件」という幻想的なお話があります。
「件」はニンベンに牛、文字通り頭が人間で体が牛という妖怪「くだん」のことです。
「くだん」は、原則(?)生まれて3日でこの世からいなくなるのですが、その前に予言をすると言われています。
それが良い予言なのか、悪い予言なのかは発出されるまでわからなくて、怖いもの見たさに人間が「くだん」の周りに集まってくるのです。
内田百閒の「件」の予言の内容は・・・。
(アマビエの予言はわかりやすくて良かったですけど)

六件目
また、焼肉の話にもどりますが、去年はけっこう牛を食べました。

4月 北見でサロマ和牛。
7月 白老のウポポイ近くで白老牛。
9月 美唄の空知牛。
11月 また北見でサロマ和牛。
12月上旬 帯広で十勝牛。(このときはサウナシュラン2020で9位にランクインしたホテルでサウナも満喫しました)

あ、そういえば、この帯広行きの前日に札幌すすきのでも焼肉を食べました。
「焼肉リゾート ハ〇イ」(店名は公開しません。ヒント:有名なリゾート地です)。

「焼肉リゾート」って何だろう?
そう思いながら店内に入ってみると、いたって普通、テーブルがあって焼肉コンロがあって・・・
お、でも壁を見ると、南国っぽい写真がたくさん貼ってあります。
ダイヤモンドヘッドの写真やアグネス・ラムさんの写真、海とビキニの女性の写真などなど。
そして、店員さんの制服はアロハ。

焼肉も美味しい!たぶん布哇牛でしょう。
冬に水着とアロハに囲まれ、暑い、いや熱い炭火での焼肉はたしかにリゾートです。

ただ難点は、営業開始が22時ということでしょうか。「ちょっと夕食に」と気軽には行けないです。
20時以降飲食店営業自粛となった日には・・・当分行けないですね・・・(涙。
我慢ですね。。。

新年早々ネガティブな内容になってしまいました。

うし とみしよぞ いまはこいしき(憂しと見し世ぞ今は恋しき)
早くこの「憂し世の中」が過去となってほしいですね。
振り返ってみて恋しく思うことはないとは思いますが。。

今年もよろしくお願いいたします。