第126回 思い込みか、それとも・・・

いつものように何事もなく新年を迎えることができました。

「大晦日から元旦へ」と考えると大層な出来事のような気がしますが、
個人的には「昨日から今日へ」という感覚で過ごしたので「何事もなく」という印象でした。

俳人・高浜虚子はこんな句を詠んでます。
去年今年貫く棒の如きもの

詩心のある人の感性は違いますね。
去年と今年が棒のようなモノで貫かれてるのですね。
そのモノとは何か?
私のような凡人には大晦日に食べた串に貫かれた焼鳥しか思い浮かびませんが。。。

焼鳥は鶏肉ですが、昔のお坊さんはウサギの肉を鳥の肉だと偽って食べたらしいですね。
それでウサギは一羽、二羽と数えるらしいです(諸説あります)。

ウサギは美味しいんでしょうね。唱歌「故郷」の歌い出しも、うさぎおいし♪ですし。
(小学生のころはみんな「うさぎ美味しい♪」って思って歌ってましたよね?今どきはどうなんだろう。
唱歌「故郷」自体が歌われないのかしら)

同様に童謡「赤とんぼ」の歌詞にも思い込みがありました(「同様」「童謡」と意図せず被って動揺しました)。

夕焼け 小焼けの赤とんぼ♪
おわれて見たのは いつの日か♪

この「おわれて」を「追われて」と思い込んでました。
そして、赤とんぼ視点で人に追われているのか、人視点で赤とんぼに追われているのか、大論争となりましたね(ウソです)。
(正しい意味は「負われて」だと言われても、子どもにはわかりっこないですね)

有名な思い込み歌詞(?)として、野球アニメ「巨人の星」の主題歌があります。
冒頭にタイトルが出たあと、バットでボールを打つ音やランナーの走る音が流れ、過酷な練習の様子を背景に歌と歌詞のテロップが流れだします。

おもいこんだら しれんのみちを♪
(注:実際のテロップも全編ひらがな、という思い込み)

この歌詞といっしょにグランド上を重いローラーを引いている選手やウサギ跳びをしている選手のアニメが流れます。
それで全国の少年少女は整地用のローラーのことを「こんだら」というモノなのだと思い込んだのでした。

重い「こんだら」 しれんのみちを♪

ついでに足腰の鍛錬には「ウサギ跳び」が有効だと刷り込まれ、意味もなく後ろ手を組んでしゃがんだ姿勢でジャンプをして足腰を痛めつけたのでした。(今となっては意味の無い修行でした)
最近の若者の足がスラッと長いのは「ウサギ跳び」をしないせいかもしれないですね。
というか、若者に「巨人の星」を知っているかと聞いてみても、「進撃の巨人」とオール阪神・巨人の巨人師匠しか知らないみたいです(ウソ)。

大晦日の巨人番組と言えば「紅白歌合戦」ですね(「巨人番組」なんて誰も言わないか)。
毎年、あまり真剣に観たことはないですが、「笑ってはいけない24時」的な番組が放映されなくなってから、ちょっとは観るようになりました。

紅白歌合戦のオープニングに「輝け!レコード大賞」出演歌手が間に合うのかという手に汗握る場面(?)を見逃すまいとチャンネルを合わせてみましたが、どうやら最近は「輝け!レコード大賞」は大晦日に放映されてないようです。
12月30日に放映されていたなんて、まったく気づきませんでした。
(もともと観る習慣-habit-がなかったですから・・・。番組タイトルも「輝く!日本レコード大賞」なんですね。「輝け!」って思い込んでました。。。)

年が明けて、今年は「うさぎ年」だと思い込んでましたが、本当は「卯年」なんですね。
「卯」は、「漢字源」によると、
「う。十二支の四番目。時刻では今の午前六時、およびその前後二時間、方角では東、動物ではうさぎに当てる。」

どうやら昔の人は、十二支に適当に動物を当てはめていったみたいです。
たぶん動物選定時の現場では「卯」は「う」だから、「う」で始まる動物を、って考えたのでしょうね。

「「うし」はもう出ちゃったし、「うま」はあとから使うからダメだよ」とか言いながら、
「うなぎ」か「うみうし」か「うさぎ」の中から、「うさぎ」でいいやって決めたんでしょうね。
(もちろん想像です。でも、最初の「子(ね)」を「ねこ」じゃなくて「ねずみ」にしたわけですから、って何の説得力もありませんが)

「卯年」を「うさぎ年」と思い込まされていたのは、たぶん誰かの陰謀なのでしょう。

・始めは処女の如く 後は脱兎の如し
初めて聞いたときは「最初はおとなしくして、何かことが起きればウサギのように逃げよ」という意味かと思ってました。
でも、実際は「最初は敵の前でおとなしく行動し、敵が油断したとみるや素早く激しく攻撃せよ」という「孫子」の欺しのテクニックらしいです。

・三十六計逃げるに如かず
これも「孫子」の言葉かと思いきや、窮地に際しては孫子の唱えた策「三十六計」よりも、逃げるのが一番という誰かの言葉らしく、すっかり欺されてました(って、何を?)。

とにかく、思い込みやミスディレクションには注意が必要です。
誰もが耳にしたことのある標語も思い込みの上に成り立っています。

・注意一秒 怪我一生
何気なくこれを読んだ場合は「ちょっとの注意でケガをしなくて済む」と解釈しますが、
よく考えてみると「注意一秒でケガ一生」だから注意は10秒くらい必要だよね、となります(ならないか。正しくは「注意0秒 怪我一生」かな)。

・スピードか 死か
「スピードの出し過ぎは重大な交通事故を招くから気をつけろ!」という意味のようでいて、実は「スピード」と「死」の二者択一になっています。
こうなるとスピードを出す方を選ぶしかないです。。。

・マッチ一本 火事のもと
この標語のせいでマッチは家庭から姿を消して、マッチ売りの少女も失業し、マッチ業界も風前の灯火です。

時代劇の悪役が「悪いようにしない」というのは「悪いことをする」枕詞(まくらことば)だし、「検討します」は「とりあえず受け付けました」で、「善処します」は「できるだけ努力します。結果は期待しないでね」です。
「聞く力」があると言うのは「聞く力はあるけど、聞く気がない」ことだし、「丁寧な説明」という人に丁寧に説明をされたことはないし、説明そのものもない(ことが多いような気がする)。

世の中にはこんな思い込みや陰謀が溢れているので、新年も引き続き特殊詐欺には気をつけましょう。
信じるか信じないかはあなた次第です(って、なんのこっちゃ)。

P.S.そういえば、「今年はお互い前期高齢者になりますね。これを期に年始のご挨拶を卒業させていただきます」という年賀状を受け取りました。
一般的に前期高齢者になったら年賀状は卒業するものでしょうか。
そして、前期高齢者は「中年(探偵団)」と名乗ることはできないのでしょうか?

とか書いてみましたが、この年賀状の一番の問題点は、差出人にまったく心当たりのないことでした・・・(誰だ?コイツ)。
きっとこの人は何かの思い込みで、「中年」のワタシに年賀状を書いたに違いない。

今年もいい年になりそうです(チャンチャン♪)