Iggy Pop 「Mass Production」(Pop/Bowie) 77RCA

自虐性を攻撃的に放出し、パンクの始祖と呼ばれるイギーポップ。
性急な暴力性を孕みながら、自我のバランスの崩壊を全く繕わずに露呈する。そこにはロックの重要な本質の一端があります。

しかし、デヴィッドボウイとの共作といえるアルバム『The Idiot』は様相が違います。

より混沌とした狂気を、決して迸らせず、貯め込んでループさせているのです。英国人ボウイの影響下でのベルリン録音であるせいか、米国的な爆発はなく、欧州的な重厚な音像にて、暗欝な自己破壊の世界に深く沈み込んでいます。

「Mass Production」はアルバムラスト。陰鬱で粘着質なリズムが延々と続き、金属質の重い演奏がのさばる中、ネガティブな苦悶を咆哮する獣のヴォーカルがのたうちまわる。

これもまたロックの本質を衝くヘビーな傑作です。

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