第31回 オープンソース以外の選択肢「CloneScript」
こんにちは、内です。
12月になってからとても寒くなってきましたね。あっというまに師走、もう今年最後のオープンソースメルマガとなりました。
今回もはりきってご紹介したいとおもいます。
これまで、システム開発や構築の際に、ニーズに近いオープンソースを構築したりカスタマイズしたりすることで、工数、コストや要件食い違いリスクの削減につながる可能性が高いですよ、ということをお伝えしてきました。
毎回目的にマッチしたオープンソースが見つかればよいですが、システム開発の要望を受けた際に、どうしても機能に近いオープンソースが見つからない。
見つかったけれどマイナーすぎて、情報がない。
完成度が不安、という場合もよくあるかと思います。
今回は、そういった場合に、ゼロから開発する以外の選択しとして、知っておくと役に立つかもしれない製品ジャンル「クローンスクリプト」(CloneScript)をご紹介します。
クローンスクリプトとは、既に世の中にリリースされている流行のウェブサービスの機能をそっくりそのままコピーした製品のことです。
例えば、空き部屋を持っている個人が、第三者に部屋を提供できる「airbnb」というサービス。
京都に住んでいる私の友人も、日本に旅行に来る外国人に対して、「airbnb」を使用して週に3~4日は自宅の部屋を提供していると聞いています。
自社の新規事業として、もしくは開発案件として、「airbnb」のように個人対個人ではなく、個人が法人に対して、または法人が法人に対して空いている会議スペースをネットで時間貸しできるサービスを始めたいといった場合があるとします。
機能としては「airbnb」とほとんど同じでOKなので、どうしたら最も効率的に同サービスを実現できるかということになります。そんな時には、「airhotels」という、「airbnb」のクローンスクリプトが選択肢に入ってきます。
元祖サイト:「airbnb」
クローンスクリプト:「Airhotels」
他のクローンスクリプトをご紹介します。
■共同購入型のフラッシュマーケティングサイト
元祖サイト:「グルーポン」
クローンスクリプト:「グループディール」
■求人メディア
日本ではあまり話題にあがりませんが、世界最大級の求人メディアのmonster.com
元祖サイト:「monster.com」
クローンスクリプト:「jobs portal」
■クーポンサイト
日本で飲食店のレビューとクーポンサイトといえば、「ぐるなび」、「食べログ」、「ホットペッパー」、海外では「Yelp」のようなサイトを構築したい場合。
元祖サイト:「Yelp」
クローンスクリプト:「crowdvox」
ここで紹介しているものはごく一部で、海外で有名なウェブサービスは全てクローンとして製品化されていると考えてよいと思います。
また、クローンスクリプトを提供している会社は1社だけでなく、様々な国の多くの会社が、クローンスクリプトを製品として提供・販売していますので、ひとつのウェブサービスに対して、クローンスクリプトの選択肢が複数あることになります。
価格はfreeのものからだいたい$1000までの間ぐらい、新規開発と比較するとどれも圧倒的に低コスト。
購入時はそのサービスの権利だけでなく、ソースファイルごと入手でき、独自カスタマイズが可能です。
また、購入元にカスタマイズを依頼することも可能です。
ただ、全てが良い点というわけではなく、注意しなければいけない点も多々あります。
1.ソースコードの品質
見た目と機能が同じでも、購入するまでそのシステムがどのようなつくりになっているかがわかりません。
私のこれまでの経験では、海外のソフトウェア製品は日本と比較すると製品の品質は低いです。
買ったはいいけどもまともに動かないといったこともありますし、動けばいいという作り方をされているものも多々あります。そういったことがないように、クローンスクリプトの比較評価サイトなどを利用して、評判を確認しましょう。
2.ライセンス関連
立ち上げたいビジネスモデル自体の特許関連は当然のことながら気にしなければいけないですし、購入するクローンスクリプト自体が抵触していないか、また購入後にどれだけ自由にカスタマイズ可能かということも要チェックです。
3.サポート
提供元はどこの国の会社か、その会社の社歴はどれだけか、といったことも気にする必要があります。
基本的に日本語でのサポートは期待できません。また、買った直後にその会社のサイトがなくなったりしないか、購入後に質問できても日本との時差が昼夜逆で、回答を得るのに時間がかかったりしないかなど、購入後に実際にカスタマイズ、運用することも想定して評価する必要があります。
このように、クローンスクリプトは手放しで推奨することはできませんが、リスクや癖を承知でうまく利用することでビジネスを加速することができる可能性を秘めています。
価格的にも、リーズナブルですので、実験的に購入して研究してみるのもいいかと思います。
今年の最後の記事は、日本ではあまり情報として取り上げられていないクローンスクリプトの話題でした。来年も、可能な限りオリジナリティーがあるギークな記事を配信していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
それではみなさま、よいお年を!
オープンソース geek(変人)列伝 バックナンバー