こんにちは、オープンソースコンサルタントの内です。

今回はオープンソースプロジェクトを財政的に支援するガイドを、2回に分けてご紹介したいと思います。

 

オープンソースをビジネスに結び付ける形としては、過去にも、

第7回 自社製品をオープンソース化した事例

 

にて、グループウェアの「Aipo」を紹介した際に、

・寄付

・システムインテグレーション

・既存OSSのカスタマイズ

・自社でOSSを売る

というパターンをご紹介しました。

今回は、ボリュームアップ版ガイドのような位置づけになります。

 

■寄付

サイト上に「寄付」ボタンを張り付ける方法です、寄付を受けるためのサービスとしてはStripeやPaypalなどがあります。

良い点:

・販売の対価ではないので、動作保証や納品義務など、条件がほとんどない。

・簡単に設置できる。

 

悪い点:

・がんばって募金活動をしない限り、通常あまりお金が入ってこない。

・一人プロジェクトなどではない限り、寄付を受けるための法的な実体が必要で、

SFCOpenCollectiveといったサービスは寄付金の管理を代理でしてくれるサービスがある。個人で管理するのは難しい。

 

プロジェクト事例:

Twisted

Git

Transmission

みな、paypalを利用して寄付を受け付けています。

 

■報奨金

「このバグを修正してくれたら$100」といった形で、オープンソースの修正にプロジェクトや企業が報奨金を出すことがあります。

良い点:

・自由に参加できる。

・お金が特定の仕事に紐づいている(ので、それ以上の面倒なことがない)。

・セキュリティ分野で特に人気。

悪い点:

・品質の悪さを広めてしまったり、優先度で悩まされるなど、プロジェクトにマイナスのインセンティブをつくってしまう可能性がある。

・報奨金はだいたい$500以下で少額。

・単発で終わってしまう。

プロジェクト事例:

オープンソースの報奨金マッチングサイト、以下のサイトでオープンソースプロジェクトのバグ修正依頼を報奨金付きで出したり、それを受けたりすることができる。

Bountysource

GitHub Bug Bounty Program

 

■クラウドファンディング(1回のみ)

既存のプロジェクトではなく、実装したい何らかのアイデアがあれば、必要な資金を調達するのに、ワンタイムクラウドファンディングキャンペーンが役に立ちます。

個人も企業も喜んであなたのキャンペーンに寄付するかもしれません。

良い点:

・寄付同様、販売の対価ではないので、動作保証や納品義務など、条件がほとんどない。

・例えばKickstarterのようなサービスを経由すれば、個人でも合法的に管理することが簡単になる。

悪い点:

・マーケットへのキャンペーンに関するやらなければいけないことがたくさん出てくる。

・たいていの場合、具体的な結果、特典を求められる。

・たいていの場合、そこまで大金にはならない($50K以下)。

・企業がキャンペーンに寄付してくれる余裕がないこともある。

プロジェクト事例:

Rvm
rubyのバージョン管理でしられるRVM、Michal Papisさん個人の成果。

Schema Migration for Django
Andrew Godwinさん個人の成果。

Perlのcpanモジュール開発者
ribasushiさん

WP-CLI
RESTのwordpressコマンドラインインターフェイス

■クラウドファンディング(繰り返し)

既存のプロジェクト作業で資金調達したい場合は、無期限に更新される月単位、または年単位の支援が約束される(出資者がキャンセルしない限り)、繰り返しのクラウドファンディングキャンペーンを立ち上げることも可能です。あなたのプロジェクトを定期的に使用する人は(個人、企業どちらも)喜んで寄付するかもしれません。

 

良い点:

・寄付同様、販売の対価ではないので、動作保証や納品義務など、条件がほとんどない。

PatreonSaltGratipayOpenCollectiveといったサービスを使用すれば、個人でも比較的簡単に管理することができる。

悪い点:

・繰り返しの寄付をしてもらう約束を得るのが難しい(大抵の場合、既にブランドや名声が必要)。

・繰り返しの寄付による具体的な結果、特典を説明するのが難しい。

・たいていの場合、そこまで大金にはならない($1000~4000以下/月)。

・企業がキャンペーンに寄付してくれる余裕がないこともある。

プロジェクト事例:

MochaJS

React-boilerplate

jsbin

Tom Christie + Django REST framework

Ruby Together

■本やグッズを出す

もしあなたが、ほかの人がそれを習得したら便利と思う領域のエキスパートであるなら、単体の本やシリーズものの本を書いて売るという手もあります。O’Reillyのような出版社もあるし、自費出版という手もあります。自分たちの成果をサポートするために、本を売るだけでなく、Tシャツやパーカー等の商品を売るプロジェクトもあります。

 

良い点:

・結果がプロジェクト自体に紐づかないので、創造的な自由を保持することができる。

・プロジェクト自体にマーケティングとしえ貢献することができる。

・繰り返しの収入源になる可能性がある。

悪い点:

・たいていの場合、そこまでの収入源にはならない。

・プロジェクトのコア部分の開発に集中できなくなる可能性がある。

・先行投資になる可能性もある。

プロジェクト事例:

Lua

Daniel and Audrey Roy Greenfeld + Two Scoops of Django

Sandi Metz + Practical Object-Oriented Design in Ruby

Kyle Simpson + You Don’t Know JS

高橋孝雄 + Asterisk徹底活用ガイド

 

■広告&スポンサーシップ

あなたのプロジェクトにたくさんのユーザーがいる場合は、それらのユーザー層に広告を出したい人に対してスポンサーシップを販売することができるかもしれません。あなたがターゲットとして絞られたユーザ層を持っているとしましょう。

例えば、Pythonのプロジェクトの持ち主なら、ユーザー層はPythonに技術的になじみ深いユーザー層であると想定できます。その利点を生かしましょう。

 

良い点:

・喜んでお金を支払いやすいビジネスモデルである。

悪い点:

・スポンサーシップの裏付けとしてたくさんのユーザーがいなければ成立しない。

・ユーザーベースとの信頼と透明性を管理する必要がある(トラッキングしない等)

・クライアントを探してマネージするのに膨大な労力が必要になる可能性がある。

プロジェクト事例:

Read the Docs

Hoodie

かなり長くなりましたので、今回はここまで。
次回は、助成金やSaaSなどのパターンをご紹介します。

つづく