第87回 知人の旅の噂
芸能人のプライベートな事件や政治家のセコい疑惑が注目を浴びるのは、内容がわかりやすい上に直接我々に影響がないので、事実関係がどうであろうと好き勝手なことが言えるからでしょうね。
詳しいことがまったくわからなくても、週刊誌の見出しだけでそれなりにストーリーをなぞることができますし。
と、まあ、どうでもいいことから書き始めましたが、夏も間近な今日この頃、全国的に雨が多いですね。
雨が多いと外出も億劫になりますし、ましてこの季節に遠出などは絶対に避けたいモノです。
ところが、最近海外に行ってきたという奇特な知人がおります。しかも数人。
中でも私と同年代の女性の知人はバックパッカーとして世界一周してきたとのこと。
アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南アメリカ、南極、そして北米をバックパック一つで、しかも女性ひとりで旅をしてきたらしいのです。
お金はそれほど持たず、さらにパソコンも持たずに、行く先々のバックパッカーの宿泊施設や安いホテルにある備え付けのパソコンで次の到着地の宿泊所を予約しながら、未知の国を巡ったそうです。
時には予約ができなくて、空港の床に寝たり、繁華街を一晩中歩き回って過ごしたこともあったそうです。
彼女の海外旅行経験は新婚旅行のハワイとサッカーワールドカップ観戦でフランスへ行った2度だけなのに、なぜ急に一人でバックパッカーをやろうと思ったのでしょう?(旦那はどうしたのか?)
初めて行く国々のガイドブックも持たずに、治安に懸念のある国もあったはずなのに、なんの不安もなかったのでしょうか?
聞きたいことは山ほどありましたが、ほとんど話はできませんでした。
というのも、私が乗ろうとした電車から降りてきた彼女とすれ違いざまに30秒ほど話しただけだからです。
でも、彼女はガイドブックの代わりに持参したヴェルヌの「80日間世界一周」と「6カ国語日常会話」の2冊の本で十分に世界を巡ることができたと言っていました。(ホントかな?)
そして「日本は安全で食事も美味しいけれど、刺激がないわね」と言って、うふふ、と笑ったのでした。
別れ際の「うふふ」の意味が気になります。
詳しいことはまったくわかりませんが、彼女が受けた「刺激」について想像すると夜も眠れなくなるのでした。
別の知人は5月の中旬にアメリカのヨセミテとグランドキャニオンという国立公園に行ってきたそうです。
ツアーかと思いきや、自分でキャンピングカーを借りて、サンフランシスコからヨセミテ国立公園へ、その後ラスベガス経由でグランドキャニオン国立公園まで走破したというのです。
距離にして、えーと、ウン千キロらしいです(よくわかりません)。
キャンピングカーはアメリカンなサイズで、とにかくデカいとのこと。
アメリカのファストフードのドリンクSが日本のLLくらいなので、たぶん2LDKのマンションを引っ張って走っている感じでしょう(想像です)。
実際、ベッドは大人6人分用意されていて、3つ口のガスコンロに2つのシンク、大型冷蔵庫やシャワールームなども備え付けられているとのことですので、日本ではあまり見かけないサイズのキャンピングカーなのでしょう。
その大型住居車に乗って、数人で国立公園を巡ったらしいのです。
「とても豪華な旅行だね」と羨ましさを悟られないように尋ねると、それがどうやらそうでもなかったらしいのです。
・まず、現地のスーパーで大量に食材を買い込むことからスタートしたそうです。
キャンピングカーと言えば、自分たちで料理をするのが大原則なので、食事の準備や後片付けを男たちでやったそうですが、なにしろこだわりのある人たちなので、とても大変だったであろうことは想像できます。
・そして、アメリカは思った以上に広い(?)ため、移動の時間が予定スケジュールを遙かに超えて、のんびり国立公園を楽しむことができず、いくつもの予定変更を余儀なくされたそうです。(訪れる予定の灼熱のデスバレーやパワースポットであるセドナはスケジュールの都合でカットとなったらしい)
・温暖なカリフォルニアからのスタートで、半袖、短パンの軽装で気軽に旅をしていたら、グランドキャニオン周辺では予想外の寒さに遭遇したそうです。気がつけば標高は2000m。
グランドキャニオンの絶景を巡るも、少し早足で歩くだけで激しい息切れを感じたそうです。気がつけば標高は2000m超。(思いがけず、高山トレーニングで心肺機能を鍛えることになったとのこと)
・ネバダ州からアリゾナ州へと移動するも、その乾燥度合いは日本の比ではなく、当たり前のように山火事警報が出ていて、気がつけば目の前の森林が燃えていたそうです。(煙の中で交通規制にも遭遇したとのこと)
・グランドキャニオンから下山してラスベガスに戻り、旅の最後の夜はアメリカンステーキで打ち上げようと、リーズナブルなステーキチェーン店「OUTBACK」でステーキを注文したところ、オージービーフの専門店だとわかったこと。
などなど、本当か嘘かわからないけれど、いろいろあったらしいです。(ま、話を聞く限り、楽しそうですが)
現地集合、現地解散が知人の旅の原則らしく、最終日は旅の仲間それぞれがバラバラな予約時間の飛行機に乗るために散っていったのですが、一人だけその日の夜の便で帰る予定の人がラスベガスの中心地でキャンピングカーから降りたそうです。
そして、その一人はまだ日本に戻ってきていないとのことでした。
でも、知人はさほど心配している様子もありませんでした。
なにやら、最近、ラスベガスにある「マダムタッソーの館」(蝋人形館)でその人を見かけたという人がいるらしいとの噂を聞いたので、元気でやっているのだろうということでした。
ま、知人の話でも詳しいことはわからないのに、面識のない人の話というのはたいていこんな感じです。
なので、知らない人に優しく出来る人は途轍もなく立派な人なのだなぁ、と思ったのでした(小学生的な感想)。
※今回は、伝聞が中心で信憑性が疑わしいと思われるかも知れませんが、第三者の厳しい目で精査していますので不適切な点は一切ございません。