「かべ」ローザルクセンブルグ(どんと)87MIDI
ローザルクセンブルグは、80年代日本屈指のロックバンドです。
どんとの、脱力した言葉を人懐っこいメロディーに乗せたソングライティング。8ビートでも16ビートでも、鋭角的な疾
走感とどっしり感を併せ持ったリズム隊の上に、縦横に切り込んでくる玉城宏志の入魂ギター。
初期トーキングヘッズを筋力アップして、和風に昇華したサウンド。
「かべ」が収録された解散ライブ『LIVE AUGUST』ではそんなローザの半ばヤケクソな勢いが、高度な演奏力によって爆発しています。
「隣で誰かこすってる。ババアがこすってる。」
「テレビの後ろ、かべの向こうで。」
おそらくは京都の築20年以上の木造アパートでは、隣人の声や物音がよく聞こえたのでしょう。
「ババア」とは老婆ではなく、少しく薹のたった女性なのでしょうが、狭く区切られた部屋に押し込められた男女の湿った性欲が渦まく情景を、四畳半フォーク的に垂れ流すのではなく、分厚いロックに昇華して解き放っています。