The Spencer Davis Group 「I’m A Man」(Winwood/Miller) 67ISLAND
ベースがまず、どっしりと歩を踏み出す。
続いてギター、ドラムが切り込んでくる。
オルガンが攻め入って来る頃には不穏な空気が拡がり、とんでもないことが起こりそうな焦燥感が巻き起こる。
ブリティッシュR&Bを体現するクールなイントロに導かれて、まだ十代とは思えないスティーブウィンウッドの真っ黒なヴォーカルが炸裂します。
時はスウィンギンロンドンの真っただ中。
黒人音楽をいかにクールに解釈するかを、イギリスの若者が競い合っていたわけですが、ウィンウッドのファンキーなオルガンと、ソウルフルなヴォーカルは、明らかに他を圧倒しています。
クールでありながら、そのクールさが放つ熱量と攻撃力は、あたりをかき乱すオルガンプレイに象徴されています。
若さゆえの激情と、天才だけが持つ自己コントロール力が、天の配剤ともいうべき危うさで、バランスを保っているということでしょうか。