The Smiths「Nowhere Fast」(Morrissey/Marr) 85ROUGH TRADE

ポップミュージックは、あっという間に始まり、手を変え品を変えのギミックで聴き手の心を揺さぶり、まだ曲が続いてほしいと思っている間に、スパッと終わる。それが理想だと思いますが、その理想どおりにコンパクトかつ魅惑的なのがこの曲です。

1985年当時、このソングライターチームには、確実にポップの神が降りてきています。とにかくギターのフレーズの一音一音や、メロディーとバンドサウンドのコンビネーションが、心憎い程に決まっています。

そして重要なのは、ポップでありながら、ロックでもあること。英国マンチェスターのインディーバンドが、ネガティブで反体制的なパンク以降のロックのスタンスをキッチリ保ちながら、ポップに昇華していることです。

本質的にマイナーな存在が、反転してメジャーになりうる。ポップ/ロックのマジックを体現したのが、ザ・スミスの短い歴史だったわけです。