David Sylvian 『Taking The Veil』(Sylvian) 86Virgin

もしかしたら、みんな気づいているんだと思いますが、人類の文明は明らかに、衰退期に入っています。
劣化の速度は遅いし、蓄積された資産は膨大に豊饒なので、日常、意識することは少ないのですが。

では、ピークはいつだったのか?ズバリ1980年代でしょう。
生産」も「消費」も「記号化」も「蕩尽」も先端を走り、多様化も、質量の増大も、もの凄い勢いでした。

ポップミュージックについては、60~70年代が最盛期のように思われていますが、勢いを失いつつ、爛熟した洗練を獲得したのが80年代です。

特に英国。パンクを経験したことで惰性から脱却でき、幾重にもスノッブに捻じれて狂い咲きしました。

様々な意匠が乱立した当時。ベルリン時代ボウイの影響のもと、静謐なミニマリズムがダークに浸透したわけですが、デヴィッドシルビアンのソロ初期はその最高峰といえます。

ロバートフリップ、ビルネルソンといった70年代の凄腕ギタリストを起用しながらも、自意識過剰な耽美主義ワールドのなかに、見事に組込み、結果として、非ブルースオリエンテッドなギタープレイとして歴史に残るほどの名演が刻まれました。

http://www.davidsylvian.com/
https://www.youtube.com/watch?v=P8w73Jd6dSU