Fripp&Eno 『Swastika Girls』(Fripp/Eno) 73EG

インストゥルメンタル、環境音楽。ヴォーカルの入ってない、楽器演奏だけの音楽のことです。

しかし、大衆が熱狂する対象は絶対的に「歌手」及び「歌手の声」であるならば、その熱狂は、若者の異性への性的昂奮を多分に含んでいるのあり、声の無い「環境音楽」は、疲れ切って「癒されたい」などとと思っている半病人が聴くものなのでしょうか。

かくいう私も、若い頃この英国変人コンビのコラボ作を聞いて、「こんな電子音や一人よがりのギターソロの垂れ流しなど、二度と聴かないよ!」と思ったものでした。

しかし、この二人の別の作品は積極的に聴いていた私は、20年ぶりに、この盤を購ってみたわけです。

半病人は、少し立ち上がりました。あらゆるフォーマットに捉われない、あまりにも自由な音像は、人工と超自然の間隙をたゆたい、わがまま放題に暴れているではないですか。

この徹底的に緻密かつ放恣な振る舞いは、分別のある小心者には決してできることではなく、却って半病人の我が身を思い知らされたりもしましたが。