第47回 二択で間違える

残暑が厳しいですね。
前回、「残暑ザンショ」などと古典的オヤジギャグを使った祟りでしょうか。

本メルマガが公開される頃には、この猛残暑も納まってほしいものです。

例年9月も半ばを過ぎると、秋の気配が漂い始め、夏の疲れが一気に出る頃なのですが、今年は猛暑状態が継続中のため、心身の疲れの出る隙(すき)も与えてくれません。

まるで、スーパーサイヤ人に覚醒する前の孫悟空が、フリーザとの戦闘中、地上に落ちることなく、空中で激しいパンチとキックで弄ばれているような状態です。(って、なんて分かり難い例えでしょうか)

実は、9月の初めのとある日、寝起きの際、腰にダメージを受けました。
正確には、寝起きというより、暑くて寝苦しい一夜にベッドの中で前後左右、上下内外?と不規則にのたうち回ったせいで受けたダメージのようです。

起き上がるときに腰の左側に鈍い痛みを感じたのでした。
「痛ぅ」と左腰を押さえながら立ち上がりましたが、「痛い」というより「重い」「怠い(だるい)」という様子なのです。

怠い腰を指で押してみたり、軽く捻ってみたり、曲げたり伸ばしたりしてみました。事態は改善しませんが、とりあえず日常生活に大きな支障はなさそうです。

でも、腰が怠痛い(だるいたい←こんな言葉あるのかしら)。

こういうときは病院よりマッサージに行くのがいいのかも知れません。

といってもマッサージに行ったことはないので、インターネット(近所に石原良純氏がいるならタウンページ)に聞いてみます。

すぐに評判の良さそうなマッサージ施設が見つかりました。
あまり馴染みのある場所ではありませんが、地図をたよりに出かけます。

地下鉄N線のH駅に下車。初めて降りる駅です。
この駅は、長いホームの前後に出口があるようです。

さて、ここで問題です。
前後どちらの出口から出ると最短距離でマッサージ屋さんにたどり着けるのでしょう?

もう、答えはわかってますよね?

選んだ逆側の出口が正解です。

つまり初めて行く駅で、出口に前後の選択肢があるときには、前の出口を選んだときの正解は後ろで、後ろの出口を選ぶと正解は前なのです。マーフィの法則でしょうか?

いつも二択で間違うので、注意深く手許の地図やホームの案内表示を見るのですが、結局、遠い出口(ハズレ)を選んでしまうのです。

あまりにも間違うので、ついに自分が信じられなくて、自分が最初に選んだ逆側を選んでみると、それがやっぱり間違いで、第一印象は重要だなと考え直し、その後、頑なに最初の考えを堅守するも正解に辿り着けない。悪夢的展開です。

とにかく二択の正解率はダメダメです。

二択で間違える場面はテレビのクイズ番組でも見かけます。

クイズ番組(仮に「Pさま」としましょうか)、Pさまのクイズの中のプレッシャースタディ○×クイズや教科書ドボン問題など見ていると、最後に残った二択問題の正解率は20%以下です(注:あくまで私個人の印象です)。
理論的には50%の正解率のはずですが・・・。

例えば、「南極より北極の方が平均気温が低い・・・○か?×か?」という問題。

南極も北極も、どちらも寒いという認識はありますが、どちらが寒いかについては考えたことがないですね。

これは迷います。

ランダムに選ぶと50%は正解のはずですが、「南極は大陸で、北極は海だ」とか、「南極は南で、北極は北だ」とか、「北極には熊がいるけど、南極には太郎と次郎がいる」とか考え出すと、もうダメです。「二択で間違える」へ向かって一直線です。

追い込まれると高い確率で二択を間違えるのは人間の性(さが)なのでしょうね。。。

別な事例です。

「店長出せ!(怒)」
「はい、よろこんで!」でお馴染みの居酒屋でのことです。
仮に「たぬき茶屋」としましょうか。

いつも大繁盛のお店ですから、なかなか注文したものが届きません。

しかも「あらばしり生酒」を頼んだのに「網走産生鮭」が届き、違うと言うと「荒縛り生なまこ」が届いたり、あるいは頼んだ「お刺身五点盛り」がなかなか届かなかったり。。。(注:多少個人の印象が混じってます)

注文した刺身が遅いなぁと思いつつ、隣の卓を見ると、
なんとサラリーマン3人組が「頼んでないのに刺身がきたぞ、伝票に載ってないから、食べ得じゃんw」などと笑いながら、お刺身盛り(たぶん我々が注文したやつ)を食べているのです。

思わず「店長出せ!(怒)」と叫ぶ瞬間です。

大繁盛の居酒屋で、大忙しの店員さんは、我々の卓と隣の卓を間違えたのですね・・・いわゆる、「二卓で間違える」というやつです。

先日、雑誌で発見した投稿俳句です。

『秋深し隣はヤニを吸う人ぞ』

(鑑賞:秋も深まった静かな夜更け、近所から煙草の匂いが漂ってきた。たぶん煙草嫌いの家族からベランダに閉め出されたご主人なのだろう。冬に向かって喫煙者の立場はますますつらくなるのだなぁ)

松尾芭蕉の『秋深き隣は何をする人ぞ』と似てますが、「似た句で間違える」
ことはないですね(ただの下手くそなパクリです)。

似た句(フレーズ)で間違えることはよくあります。

会話の途中で慣用句が思い出せなくて、思わず似て非なることを口にしてしまうケースです。
(糸井重里氏のほぼ日刊イトイ新聞の「言いまつがい」に豊富な事例があります)

最近、目撃したオッサン同士の口喧嘩の事例です。

一方のオッサンがいきなり「明後日(あさって)、来いや!!」と叫びました。

言われたほうのオッサンは、キョトンとしています。
たぶん「一昨日(おととい)、来やがれ!!」と間違ったのでしょうね。
あるいは、プロレスラー高田延彦のファンだったのか・・・。

中年のおじさんにありがちなのは、テレビで見るアイドルの顔が覚えられないことでしょうか。

AKB48の大島優子と渡辺麻友を間違えることなど、ざらにあります。
「似た娘(こ)で間違える」ってことですね。(実は似ているのか以前に、二人の顔を知らなかったりするのですが)

ほかにも、

愛人宅と本宅を間違えてしまう・・・「二宅で間違える」(私は滅多に間違えませんが)

関東煮と関東炊きの区別がつかない・・・「煮炊くで間違える」(実は同じ)

朝起きると首が痛い・・・「自宅で寝違える」

釣りに行ったけど、カエルしか釣れない・・・「魚拓がヒキガエル」

上戸彩が結婚!・・・「旦那がエグザイル」

・・・もうなんだかワケがわからなくなってきました。(レベルの低いハライチ状態です)

腰が怠くてマッサージ屋さんに向かった最初の話に戻りましょう。

二択で間違って、遠い出口から出た私はマッサージを諦めて、呑みに行くことにしました。

初めての駅で、なんだか人を惹きつける酒場がたくさん赤提灯や縄のれんを下げているのを発見したのです。

知らない店とはいえ、良さそうな雰囲気です。
ここは行くしかないでしょう。

腰怠いの酒場放浪記ですから(なんのこっちゃ。ダジャレかよ。しかもテレビ見てない人には意味不明だし)。

注:「吉田類の酒場放浪記」はBS-TBS月曜21時から放映中。って、けっして宣伝ではありませぬ。

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