第55回 GWに科学する

「ゴールデンウィーク」も終わってしまいましたね。
連休と無縁の私はじっと季節外れの寒さが過ぎ去るのを待っていたのでした。

それにしても連休後半の3連続祝日というのは何なのでしょう?
5月3日「憲法記念日」、4日「みどりの日」、5日「こどもの日」。
個々の祝日よりも3連休(土日との兼ね合いで4連休、5連休も)がクローズアップされて、なぜ祝日なのかを考える機会が失われてしまってはいないでしょうか?

昨今の憲法改正論議が本当に・・・(以下、自主規制。というか、ちょっと難しいことを書いてみたい年頃なんです。ちなみに山口百恵の「としごろ」は5月リリースでした)。

で、よくよく見ると5月4日は「みどりの日」です。
どういう意図の祝日かわからない「みどりの日」(わからないのは私だけかもしれませんが)。

自分の記憶が正しければ以前は4月29日が「みどりの日」だったはず。。。
(ま、Wikiで調べればわかることですが)

たぶん「みどり」は「五月」と親和性が高いということに偉いヒトが気づいたのでしょうね。

「おひまなら来てよね♪」ってことです。
(ま、若い人にはわからないでしょうが)

個々の祝日がよくわからないと言っても「こどもの日」は何となく心の琴線に触れるものがあります。

人間誰しも「親」にはならなくても、必ず誰かの「こども」なわけで、中年の私もその例外ではありません。

私を「わが子のように」育ててくれた年老いた両親から見ると、私も「こども」なわけで、その親の脛をたまには齧るというのも「親孝行」の一つです(?)。

そんなわけで5月5日に里帰りしてみました。

実家に帰ったからといって、何をするわけでもなく、ゴロリと床に寝そべってテレビを見るだけなのです。

特に面白い番組もないなぁとリモコンのボタンをあちこちいじっていたら、偶然見つけてしまいました。

「総天然色ウルトラQ」!!

なんと1966年モノクロで放映されていた空想特撮テレビ映画「ウルトラQ」をアメリカで色をつけてカラー空想特撮テレビ映画にバージョンアップさせたマニア垂涎のあの「総天然色ウルトラQ」を一挙放映してるのですっ!!!
(って、興味のないヒトにはこの興奮の意味はわからないでしょうね)

私は、以前、Blu-ray再生機を持っていないのにBlu-ray版「総天然色ウルトラQ」を購入すべきかどうか一週間悩みに悩んだ挙句、北米版「ウルトラマン」DVD-BOXを買ってしまったという暗い過去を持ってます。

それが私の性格を消極的に変えてしまったばかりでなく、その自責の念から冷たい牛乳を受け付けない体になってしまったのです。

という冗談はさておき、偶然つけたテレビで見たかった「総天然色ウルトラQ」が見られるとはラッキーです。

しかも、番組と連動したスマートフォンアプリを使えば、ウルトラQの怪獣を「ゲット」できるらしいのです。
(「ゲット」っていい響きですね。「ポケモンも呑み放題クーポンも試食品もなんでもゲットするのが私の趣味です」とお見合いの席で熱く語ってお相手の方に引かれた苦い思い出はありますけどね。)

早速、スマホのアプリをダウンロードして、アプリの中の「怪獣キャッチ大作戦」のメニューを選びます。

「全話ラインアップ」からこれから放映される「第13話ガラダマ」(隕石怪獣ガラモン登場の回です)を選択。

番組のタイトル表示から導入部のドラマがあって、あの「テーマ曲」が流れる間、スマホをテレビにかざします。

突然、スマホがブルッと震えて画面には「ゲット!!」の文字が。
「やった!ガラモン、ゲットだぜ!!」と年甲斐もなく興奮して画面を見ると、なんと「冷凍怪獣ペギラ」が表示されている。

「!?なんで?バグ?」

「全話ラインアップ」メニューを見ると、ペギラは次の「第14話東京氷河期」に登場する怪獣なのです。

もしかして、第13話を選択したつもりで、誤って第14話を選んだのでしょうか?

※※以下、私の灰色の脳細胞がめまぐるしく活動したさまを記述します※※

いやいや、でも、各話ごとに導入部のドラマが違うので、違う回の話を選んだ場合は怪獣をゲットできないはずでは?

しかし待てよ、それぞれのドラマの内容をスマホのアプリが把握して、それにあった怪獣をゲットさせるのは技術的にかなりハードルが高いのではないだろうか?

そんな高いレベルの技術をこの怪獣ゲットアプリに仕込んでいるわけがない。

ほんとはもっと単純な仕組みなのでは?

例えば、あのテーマ曲にだけアプリが反応して、放映してる内容と関係なくどの怪獣のデータでもゲットできるのではないだろうか?

お、もしかして今、俺は「科学」的な思考をしてる?

1.起こった現象の理由を想像して、仮説を立てる。
2.仮説に基づいて実験をする。
3.実験結果から仮説の妥当性を検討する。

この過程はまさに「科学」の本質じゃん。

<仮説>
番組内容に関係なくテーマ曲に反応して怪獣データがゲットできるのなら、次の「第14話東京氷河期」(冷凍怪獣ペギラ)の始まりのところで、「第15話カネゴンの繭」(コイン怪獣カネゴン)を選択すれば、ペギラではなくカネゴンがゲットできるのでは?

<実験>
実際にやってみると、ペギラの回なのに、テーマ曲の最後の「ボヨヨ~ン♪」というところで、カネゴンがゲットできた!

<検討>
テーマ曲の中のどこかの部分にアプリが反応して、話の内容に関係なく好きな怪獣をゲットできる可能性が高い。

そういえば、家には、テレビの再放送を録画したVHSの「ウルトラQ」があったはずだ。

あの録画のテーマ曲から怪獣がゲットできれば、何度でも再生して全怪獣データをゲットできる。

親孝行なんかしてる場合ではない(!?)。
一刻も早く、実験をして科学的に正しいことを立証しなければ。

~家に戻って、実験開始~

VHSは「第1話ゴメスを倒せ!」(古代怪獣ゴメス・・・ゴジラの頭に角とお腹に模様をつけただけの怪獣)。

この第1話のテーマ曲に「第2話五郎とゴロー」(巨猿ゴロー)の画面を選択してみると、見事にゴローのデータをゲット!!

この調子で全28話の怪獣データをゲット!!!

ああ、自分の「科学」的な姿勢はなんて正しくて美しいのだろう。と悦に入ってみたものの、これで本当に仮説の妥当性が確認できたのだろうか?

そうだ、対照実験をしてみよう。

ウルトラQのテーマ曲の代わりにほかの音楽で、怪獣がゲットできないかを実験してみることに。

まずはたまたま手許にあった「ブルー・ライト・ヨコハマ」(唄いしだあゆみ)で「第20話海底原人ラゴン」の画面をかざしてみる・・・ラゴンはゲットできず。。。

次に「京都慕情」(唄渚ゆう子)で「第10話地底超特急西へ」(人工生命M1号)の画面をかざしてみる・・・やはりM1号はゲットできず。

どうやら別な音楽ではダメなようだ。

では、テーマ曲と似た音楽ならどうだろう?
似た音楽と言っても、すぐに思い浮かばないので、ウルトラQのテーマ曲をアカペラで歌ってみる。

歌うと言っても、歌詞はないので、音楽を真似して、意味のない言語で発声してみる。

発声というよりは唸っている感じだ。

「第19話2020年の挑戦」(誘拐怪人ケムール人)の画面をかざしても、ケムール人は出てこない。

もう少し大声で歌った(うなった?)ほうがいいのだろうか?
「Umm~ Umm~ Umm~ Umm~ Ummh~♪」
いくら頑張ってもケムール人は出てこない。
もうケムール人は地球にいないのだろうか?(っていう話じゃないですね)

臍下丹田に力をこめてウルトラQのテーマ曲を歌っていたら、汗をかいたうえにお腹が空いてきた。
人間お腹が空くと我に返るものだ。GWに自分は何をやっているのだろうか?と。

それにしても、偉大な発見の始まりは地味で、偉大な科学者が世間に認知されるのは非常に困難なことなのだなぁ。

ガリレオ・ガリレイに思いを馳せるのでした。(福山雅治じゃないほうです)

<蛇足>
ウルトラQの「科学」の結果が中途半端だったので、「大人の科学マガジン」を買って、パタパタ電波時計で科学的好奇心を満たしたのでした。。。(なんのこっちゃ)

※GWを楽しませてもらった「総天然色ウルトラQ」は円谷プロ製作で、スマホアプリはwowow提供です。

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