第15回 「1000本ノックの先に見えたもの」
史上最多の38個のメダルを獲得したロンドンオリンピックも、夏の高校野球もあっという間に終わってしまいましたね。
パパクワッチはというと、人生始まって以来の偉業!?ともいえる自著の出版を7月末に経験して暫し放心状態でしたが、やっといつものペースが戻ってきました。
そう、オオクワッチの夏をやっと迎えたのです!
羽化した新成虫の取り出しに加え、新たな種親によるブリードを開始しました。
例年、我が家のオオクワッチのブリードは、
・3月~4月 覚醒
・4月~5月 ペアリング
・5月~8月 産卵
・6月~9月 菌糸ビンに幼虫投入
といったスケジュールで展開します。
今年は、このスケジュールが大幅にずれ込んだために、このコラムを書いている今現在(8月20日)もペアリングをしている個体もいます。
写真: ペアリング中のオオクワッチと拘りの飼育カード
ブリードの時期には諸説があって、掲記のような初夏型の場合と晩夏型の場合があります。いずれも本格的なブリードには、エアコンやサーキュレータを活用した徹底した温度管理を実施できる環境であることが条件となります。
さて、オオクワッチの話題はこのくらいにして本題に戻ろうと思います。
前回「1000本ノックのはじまり」でさわりをご紹介したとおり、拙著『 勝負は、お客様が買う前に決める! 』の出版への道のりは平たんではありませんでした。
夏以降、D社の編集者Kさんとのやりとりで
”お店に来る前からファンにしてしまう”
”サービスサイエンスの専門書ではなく、実務書を目指す”
”広く一般の方にもわかりやすい内容を心がける”
をコンセプトに、企画書の推敲を繰り返しました。そう、イメージは、言ってみれば野球少年だった頃に体験した1000本ノックの感覚です。
正直なところ、秋になればシロクロつくであろうと考えていましたが、なかなかどうしてその時が来ません。
「あの~、私の本はいつ出版できるのでしょうか?」
と野暮な質問もできずにただひたすら編集者Kさんとマンツーマンで企画書を校正する日々が続きました。
この作業は、ITベンダーで育った私にはとても新鮮な作業でした。
”本を創ることはこういったプロセスが必要なのか”
”目次のフレーズや語句の使い方にこんな方法があるのか!”
と、発見と学習の日々でした。
言ってみれば、無料の出版教室の生徒になった気分で、本を出せるかどうかは二の次になっていました。
とうとう年末を迎え、お正月のお餅を食べるころには開き直っていました(笑)。
そして2月の終わり、18版目の企画書レビューの後にいよいよその時を迎えました。
編集者のKさんから、
「柴崎さん、来週の編集会議にかけようと思います。」
と切り出されたのです。
この時の心境は、
”ヤッター!!”
というよりは、
”やっとこさ3合目まで来た”
といった感じでしょうか。
無事編集会議を通過し、翌週の販売会議でも了解をいただきました。
いよいよ3月初旬に執筆活動を開始するという段階になり、編集者のKさんに能天気に質問しました。
「あの~、原稿は夏の終わり位までに書き上げれば良いでしょうか?」
編集者Kさんは言いました。
「柴崎さん、できれば夏前に出版しましょう。GW明けまでに原稿を書き上げてください!」
パパクワッチ、
「エッ!?」
それからというもの、睡魔との戦いの日々が始まったのでした。
(つづく)
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