第8回 暮らすように滞在するヨーロッパ ~オーストリア編

ハンガリーの首都ブダペストからオーストリアへはバスで移動した。ヨーロッパでバス移動といえばFlixBusという緑のバスが有名なので利用してみた。スマホアプリから予約はもちろんチケットのQRも表示でき、英語がなんとなく理解できるレベルでも手軽に購入できる。時間に余裕があり、移動費用を抑えたい場合、バス移動はオススメである。

ヨーロッパはシェンゲン協定加盟国であれば、出入国審査も不要なので国境を越えた感覚もないまま気づいたらオーストリアに入っていた。到着したのは首都ウィーンの中央駅にあるバスターミナル。近代的できれいな街という印象だ。

Airbnbの宿へは地下鉄で向かった。ハンガリーも含め中欧エリアの国々の地下鉄は改札がなく、入場時に駅のホームの手前にある機械に切符を差し込んで刻印をし、降りる時はそのまま外に出ることができる。たまに電車内で切符のチェックがあり、入場時の刻印がないと罰金を払うことになるらしい。ウィーンに来た頃にはこの仕組みにもすっかり慣れていたものの、少しうらやましくも感じた。何でもかんでもチェックをするのではなく、性善説に基づいてルールが作られているような気がしたからだ。こんなところからも日本との違いを少し感じてしまうものだ。

さて、目的地のAirbnbの家はウィーン中心地から地下鉄で20分、徒歩で15分ほど離れたところにあった。街並みはベッドタウン的な郊外の住宅街という感じだ。今回のAirbnbは家の中の空き部屋の一つを借りるタイプだった。口コミ評価もよく、他よりも圧倒的に安かったのでこの家に決めた。洗練されたデザインのマンションで廊下は併設された美容院のシャンプーのいい香りが漂う素敵な場所だった。

今回のホストは小学生の娘と二人暮らしだが、滞在中はたまたまドイツからホストのお母さんが来ていた。ホームステイのような感じで、リビングやキッチン、バストイレはホストと共用。寝室は専用の一部屋という感じだ。ホストはとても親切で、「何でも言ってね。自宅のように寛いで!」と歓迎してくれた。

スーパーで夕飯の食材を調達し部屋に戻ると、キッチンはいつ使えるものか、悩むことになった。自宅のように寛いで良いと言われたものの、やはり気を遣ってしまう。聞き耳を立て食事が終わったようなタイミングにそっと扉を開けてみた。するとホストのお母さんが「入って入ってー」と招き入れてくれ、キッチンの使い方を一通り教えてくれた。作り始めるとまたホストのお母さんがやってきて、紫玉ねぎや人参、トマトなどいろんなものをくれた。そして「なんでも言ってね。これはいらない?あれは大丈夫?」と色々と気にかけてくれた。このやり取りでせっかくこんなに色々優しくしてもらっているのにこちらが気を遣いすぎてもいけないなと感じた。食事を終え部屋に戻ってから夫に「自宅のように寛いでって言ってたし素直に受け止めて寛ぐことにしよう!」と宣言してみた。夫には少し笑われたが、そのスタイルで行くことにした。心持ち一つだが、一家との距離が少し縮まった感じがした。

 

ちなみに毎日同じようなパスタを作っていたらよっぽど貧相に見えたのだろう。3日間の滞在のうちたびたびおすそ分けをしてもらい、とってもありがたかった。

他にも洗濯機と乾燥機を使わせてもらい、洗剤も自由に使ってねという言葉にしっかり甘えた。初めてのホームステイスタイルのAirbnbだったが、ホスト一家の優しさに本当に助けられた。

観光はというと、ウィーン中心地をフリーツアーで回りつつ、シュテファン大聖堂など街中は自分たちで散策しながら名物のウインナーを食べ、シェーンブルン宮殿も訪れた。ウィーンの街中は中世の雰囲気がそのまま残っていてモーツァルトにまつわる建造物も多数あった。それでいて近代的な雰囲気もあり、街が落ち着いているのでとてもいい街だった。

最終日はホストおすすめの郊外のアウトレットへ。ウィーンからロマンスカーのような電車で1時間ほど足をのばした。アウトレット自体は日本とそんなに大差ないが、ヨーロッパならではのブランドが並んでいるのと、何よりも少し山のエリアにあってアルプスの澄んだ空気を感じられるとてもいい場所だった。

街中で楽しむのもよし、ちょっと足を延ばしてみるのもありなウィーンへぜひ訪れてみてもらえたらと思う。思ったよりたくさん書いてしまったので次の国ポーランドはまた次回。