第24回 無料のSEO対策オープンソース
「WordPressを使ってホームページを作る」という話を、システム屋さん以外から最近良く聞くようになってきました。
WordPressはやはり別格で、他のOSSやCMSと比べて認知度が高いなあと思う今日この頃です。
ホームページを作るということは業種に依存せずにニーズがあることで、それを無料で実現でき、構築もコンテンツ作成も簡単ということで、受け入れられてきた結果かなと思います。
ホームページは作っただけではダメで、作った後の記事の更新や集客、SEOの効果測定と対策が大事だと散々言われてきております。
SEOをするには、コンサルティングを行っている会社に依頼したり、有料でSEOのツールを提供しているサービスを利用したりというのが一般的です。
自社で行う場合も、Google Analyticsなどを駆使して分析しているところが多いのではないでしょうか。
今回は、ホームページを作った後に必要となる、効果測定や対策ができるオープンソースを紹介したいと思います。
■アクセス解析をするオープンソース「piwik」
http://piwik.org/
ウェブサイトのアクセス解析は歴史が古く、これまで様々なアクセス解析がありましたが、アクセス解析としてはもう、この「piwik」だけを紹介すればよいかなと思うぐらい高機能です。
piwikはもともとGoogle Analyticsのクローン的な位置づけで発展してきました。
そのため、見た目もGoogle Analyticsそっくりです。
ダウンロード数は現時点で173万、日本でpiwikユーザー会が発足している点から、とてもメジャーなアクセス解析だと言えます。
(ので、ここではあまり細かく紹介しません!)
日本語対応もされております。
Google Analyticsではなくpiwikを選ぶ理由としては、次のようなことが挙げられます。
Google Analyticsはあくまでも外部サービスですが、piwikは自社のサーバーにインストールして使うので、突然の仕様変更はありません。
また、Google Analyticsの場合、サービスが停止しても再開されるまで待つ以外に方法がありませんが、自社で運用するpiwikは自己責任でなんとかなる場合があります。
下記の記事に、具体的にGoogle AnalyticsとPiwikでどのような違いがあるか記載されています。
http://lab.space-i.com/?p=1553
Google Analyticsでは取得できない、もしくは仕様変更で取得できなくなった、「IPアドレス」、「ユーザー別トラッキング」、「ファイルダウンロードトラッキング」が取得できたり、ページビューの制限がなかったりするようです。
※piwikのデモURLはこちら
http://demo.piwik.org/
■SEO対策に特化した「Seo Panel」
http://www.seopanel.in/
こちらは、SEO対策に特化したオープンソース。
2011年の「オープンソースアワード」の「Most Promising Open Source Project」部門で、「1st Runner Up」というのを受賞したオープンソースです。
一言でいうと「今後超期待できるオープンソース」ということです。
特徴的な機能をみてみましょう。
・ランクチェッカー
www.google.com,www.yahoo.com,www.bing.comでのキーワードの順位を定期的&任意のタイミングでチェックしてくれます。
利用の手順は以下の通り。
1.チェック対象のサイトを登録
2.チェック対象のキーワードをサイトごとに登録
3.キーワードポジションをチェック
これで、自分のサイトが狙ったキーワードでどれぐらいの検索順位になっているかを確認できます。
これは、自社のサイトだけでなく競合のサイトも登録して比較することもできますね!
ただ、現時点ではyahoo,google,bingは.co.jpではなく.comだけになってます。
・バックリンクチェッカー
登録したサイトに、リンクをしてくれているサイトがどれぐらいあるかを確認できます。
これも、レポート形式で時系列でチェックできるので、日々バックリンク(被リンク)がどれぐらい増えたか、減ったかを確認できます。
・ディレクトリサブミッション
Seo Panelをインストールすると、サイトの情報を登録することができるリンク集やポータルサイトが一覧で登録されています。
これらのリンク集やポータルサイトがまだサービス稼働しているかどうかをチェックする「ディレクトリマネージャー」という機能があります。
そして、これらに一括で情報を登録/更新するツールがディレクトリサブミッションツールです。
サイト名、URL、概要を一括で登録できるので、露出を高めるとともに被リンク数を増やすことにも使えますね。
Seo Panelは、現時点で日本語版は日本のある会社から有償で提供されているもののみになり、OSS版には日本語が含まれておりません。
ダウンロード数は約12万と、piwikの10分の1以下。
Seo Panelに直接確認した最新情報ですが、約2週間後にリリースされる最新版3.5.0では日本語版がリリースされるとのことです。
Seo Panelが提供している機能は、日本では有償で販売されていたり、特定の会社から制限付きの無償サービスとして提供されていたものだったので、今月後半に日本語版に対応したオープンソース版新バージョンが提供されることにより、日本での知名度もかなり上がるのではないかと思います。
ちなみに、当社も今まで使っていた他社サービスからこちらに乗り換える予定です。
デモURLはこちら
http://www.seopanel.in/demo/
■外部からのウェブ解析に特化した「Open SEO」
http://openseo.apphb.com/
対象サイトのURLを入力すると、様々な角度で解析を行ってくれるサービスで、OSSとしてもソースが公開されています。
しかし、MicrosoftのVisualStudioというSDKが必要なWebSharperというフレームワークで動くもので、かなりマニアックな気がします。
https://github.com/TahaHachana/OpenSEO
実際に解析してみると、以下のようなことがわかります。
・キーワード解析
自分のページで使われているキーワード組み合わせの一覧と出現回数が表示されるので、どのようなキーワードでSEOされているのか、現状把握が可能。
これにより、狙ったワードとサイトの現状とのギャップを確認し、対策を練ることできます。
・リンク解析
内部リンク、外部リンクの一覧が表示されます。
リンクが少ない=導線が少なく、使い勝手の悪いサイトなので、誘導したいコンテンツへの導線を増やしましょう。といった分析に使います。
・文法エラーチェック
Htmlの文法的なチェックを行ってくれます。この機能は他のOSSアクセス解析でも見たことがない、珍しい機能です。エラーを直して検索順位低下要因を減らしましょうということですね。
・スピード
レスポンスのスピードとスコアがわかります。
Googleの検索結果には表示のレスポンスも判定材料に加えられるようになってますので、あまりにサイトが重い場合は「サーバーリソース」や「ネットワーク回線」、「CMSの作り」や「サイトの構成」の見直しをしましょうという判断ができます。
Googleで検索してもOpen SEOに関する日本語の記事はないようで、かなりマニアックなOSSです。
機能はいたってシンプルですが、他の解析OSSと被らない、重要な機能を持っているので、組み合わせて使えますね。
※番外編
■自作プログラムから呼び出すSEO解析用ライブラリ「SEOStat」
https://code.google.com/p/seostats/
被リンク解析、キーワードやFacebook・Twitter解析などの機能を持っており、単独で使うのではなくプログラムから呼び出して使うライブラリとして提供されています。
DrupalなどのCMSでは、このライブラリをラップしたseostatsモジュールが提供されていますので、CMSにアクセス解析機能を組み込むといった時に利用できます。
■さらに新しく登場したSEOマーケティングシステム「OpenS」
http://opens.org/
今年出現した新しいSEOのOSS。
実はまだ検証できていないのですが、上記で紹介したOSSの機能をほとんど含んでいる様子。
ただ、皮肉なことに製品名「OpenS」で検索しても引っかからない状態なので、知名度はまだほとんどないでしょう。
SEOのツールが製品名ですぐに見つからないと説得力がないですね。
新しいものなので今後に期待です。
いかがでしたでしょう。
どのようなキーワードで自社のサイトの露出率を挙げるかというのは企業ごとに異なり、前提となるマーケティング戦略が間違っていると意味がなくなります。
また、定期的に効果測定を行い、対策を練るというPDCAフローを定着させること、これらツールを使いこなせる人材を用意することということは依然として必要だと思いました。
上記のように、ウェブサイトの効果測定やSEO対策のOSSのツールは、有料のサービスにも劣らない機能を持つものがたくさんあります。
これらを、自社/他社へのコンサルティングのツールとして利用してみてはいかがでしょうか?
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