第25回 オープンデータがいま熱い

これまでメルマガで、プログラムのオープンソース以外もいくつか紹介してきました。

「オープンソースの家」、「オープンコーラ」、「オープンソースなコワーキングスペース」。

今回紹介したいのは、「オープンデータ」です。

以下は、私が所属している「東京都中小企業診断士協会」の情報診断研究会の発表です。

山倉一記先生が講演された「オープンデータの活用」を非常に面白いと感じたため、その内容をかいつまんで紹介&自分の感想などを述べさせていただこうと思います。

元のプレゼン内容、資料はこちらに公開されております。
http://jou-jouhoku.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html

まず、オープンデータとは、自由に使える、再利用できる、誰でも使える、再配布できる、国や自治体が提供する公共データのこと。
オープンソースの考えに非常に近いですね。

ただの情報公開とは違い、公開されたデータをソフトウェアで解析処理して新たなデータを生み出すためのデータとのことです。

では、具体的にどのような利用方法があるのでしょう。

例えば「工事情報」や「バリアフリー情報」がオープンデータとして公開され、それを利用して、カーナビや地図アプリといった目的地に誘導するシステムに取り入れることで目的地までスムーズに誘導できるようになる、という利用例や、「事故発生情報」がオープンデータとして公開され、それを利用したスマートフォンアプリを作成し、スマホを持った子供が事故発生現場に近づいた場合は親に連絡が行くという利用方法が想定されているようです。

身近なところでは、GoogleがGoogle map APIを公開して手軽に自分のサイトに自社の所在地を表示したり、食べログやぐるなびが、自社サービスに登録している店舗の位置やジャンルなどを検索できるAPIを公開していたりと、身近な企業で行っているものに近いのかなと思いました。(民間企業が提供しているサービスはオープンデータとは言わないのか?規約にのっとって利用制限があるAPIはオープンデータではない?といった厳密な定義は、現時点で私はわかりません。)

では、実際にオープンデータを活用したサービス事例をみてみましょう。

自治体でデータの整備が進み、積極的に促進している福井県の鯖江市の例です。
http://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=11552

鯖江市が保有しているデータがXML、RDFで公開されています。
さらに、WEBアプリコンテストを主催して、告知とプロモーションにより開発者が参加し、完成したアプリケーションも公開されています。

公開されているアプリには、鯖江市内のトイレの位置を検索してルート表示するものが多いですね。

アプリの一覧は以下に記載されています。
いろんなアイデアが詰まっていて非常に面白いです。

http://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=12767

また、このメルマガを書いている最中にデータシティー鯖江のプレスリリースが発表されました。

http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20140604_651743.html

同様な取り組みを、千葉県流山市(私の地元)も行っています。
http://www.city.nagareyama.chiba.jp/10763/index.html

次の事例は、借りたい本を検索すると、全国の図書館のオープンデータを利用してどこの図書館にあるかがわかる、「カーリル」というサービスです。

https://calil.jp/

この事例を聞いて、「下北沢オープンソースカフェ」の河村さんがやられている「リブライズ」を思い出しました。

http://librize.com/ja

リブライズは、図書館ではなくカフェ、オフィス、レストラン、コワーキングスペースなどの「本棚」ごとにある本まで検索対象になるもので、両者がドッキングしたらもっと巨大なデータベースになるなあと思いました。

また、各府省庁が集めたデータを総務省が公開しているサイトとして、政府統計の総合窓口「e-stat」というものがあります。

http://www.e-stat.go.jp/

どのような情報が公開されているのか、アクセス数の多いジャンルごとに挙げ
てみます。

1.「貿易統計」
2.「国勢調査」
3.「労働力調査」
4.「家計調査」
5.「作物統計調査」
6.「住宅・土地統計調査」
7.「農業経営統計調査」
8.「学校基本調査」
9.「人口動態調査」
10.「農林業センサス」

実に様々な統計情報が公開されているんですね。

ただ、このサイトの情報の利用については「当サイトの全部又は一部については、私的使用又は引用等著作権法上認められた行為として、出所を明示することなど適切な方法を用いていただくことにより、引用、転載、複製を行うことができます。」「商用目的で複製する場合は、予め個々の情報に関する著作権を有している各府省等までご相談下さい。」と、利用方法が記載されていますので、注意が必要です。

総務省の去年のニュースリリースによると、現在e-statで公開している情報をAPIで利用できる試験運用をしていて、平成26年の今年には本格稼働するとのことです。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000230118.pdf

■オープンソースのデータカタログ化システム「CKAN」
上記のようにデータをオープンデータ化するシステムのオープンソースプロジェクト「CKAN」というものがあります。

CKANに手動でデータ登録したり、excel形式のデータをインポートすることで、サイト上で検索が可能となります。

さらに、それらをREST/XMLで利用するAPIインターフェイスも備えたシステムで、イギリス、ブラジル、オランダ、ノルウェーなどの各政府オフィシャルサイトで採用されています。

いかがでしたでしょうか?
オープンソースのシステムだけでなく、オープンデータを活用していくことで店舗出店や製品マーケティングの指標をリアルタイムで確認できたり、システム会社にとっては、たとえばオープンデータを取り込んだマーケティング分析機能等を自社製品に付与することで付加価値がつくのではないかと思います。

私も、e-statに登録し、どのようなデータがAPIで使えるのかの詳細を確認して取得&画面に表示ぐらいのサンプルプログラムをまずつくってみるところから始めてみたいと思います。

オープンソース geek(変人)列伝 バックナンバー