第48回 「共創型サービスモデルを考える ~さくらハッカソン後編~」

みなさん、GWはいかがお過ごしでしたでしょうか?

パパクワッチは地域のコ・ワーキングスペースにてクワッチセミナーを開催しました。

言ってみれば地域への社会貢献の一環ですが、多くのお父さんやお子さんに絶滅危惧種である黒いダイヤの魅力についてご紹介。
好評につき、お陰様で第二回も開催することに決定しました♪

20150501k
クワッチセミナーでの筆者とお父さんお子さんたち

さて、代表を務める共創メディア「あしたのコミュニティーラボ(以下、あしたラボ)」主催でちょうど1年前に開催した「さくらハッカソン」について続報です。

第47回 「共創型サービスモデルを考える ~さくらハッカソン前編~」 はこちら

さくらハッカソンは、東北の桜をテーマにしたハッカソン。

東北地方の桜の名所を旅することで復興支援をしようという『東北・夢の桜街道推進協議会』に賛同し、ハッカソンを開催したことは前回ご紹介しました。

■参加者は、多様なメンバー

「さくらハッカソン」には、富士通株式会社のシステムエンジニアやソフトウエア開発者、デザイナーに加え、社外のベンチャー企業の技術者や広告代理店のクリエイター、デザイナーに加え、大学生も5名参加していました。

一見、統一感のないメンバー。
混沌としたカオスの状態から、アイデアソンを経て、多様性に富んだ”チーム”を組んでハッカソンがスタートしました。

官民連携のソーシャルイノベーションの試みに共感する、約40人のエンジニアやデザイナー、学生が集って知恵とスキルを持ち寄り、限られた時間でアウトプットを生み出しました。

20150502k
ハッカソンの様子(撮影:川本聖哉 出典:あしたのコミュ二ティーラボ)

■8つのチームのハッカソンの成果

では、多彩な8チームによるユニークなアイデアの数々を簡単にご紹介しましょう。

1.Saku-Labチーム「Saku-Tabi」

旅行者と東北の人々をつなぐコミュニケーションプラットホーム。
行きたい場所を登録して、条件に合った地元の人を紹介する人間的なサービス。

2.居酒屋ブラザーズ&シスターチーム「居酒屋ブラザーズ」

東京と東北で兄弟姉妹になろう!ということで双方の居酒屋をつないだ「遠隔仮想交流」で実際に東北訪問の動機づけにつなげていくサービス。

3.ありのあんないにんチーム「ありのあんないにん」

子供が誕生時に植樹して、その子が18歳になるとAR(拡張現実)マーカー付きの桜の葉が届くというファンタジーあふれるサービス。

4.羽生JAPAN with BAチーム「TOHOKU BYCYCLE MAP」

自転車旅の走行距離の競争や、ルート開拓など、独自の旅を企画して東北を発見する、ツーリングのソーシャルコミュニケーションプラットホーム。

5.桜これくしょんチーム「MY SAKURA COLLECTION」

デジタルで桜の映像を楽しみ、満開時は花見に出かけ、散った後は花びらを所有し石鹸や酒に加工。ファンドを通じ桜の木のオーナーにもなれる。

6.林家チーム「桜・風°呂(プロ)ジェクション・パック」

桜の名所でARマーカー付き入浴剤を買い、自宅でダウンロードすると風呂にプロジェクションマッピングで桜を映し出していつでも花見ができる。

20150503k

林家チーム「桜・風°呂(プロ)ジェクション・パック」
(撮影:川本聖哉 出典:あしたのコミュ二ティーラボ)

7.桜メモリーチーム「さくら・メモリー」

旅行から帰宅後、桜が入った小瓶が届き、ARマーカーを読み込むと地元で出会った人からの手紙が浮かび上がり交流を増進するプログラム。

8.恋する東北チーム「Koisuru東北」

遊ぶ、食べる、体験する、会いたい人など、恋する対象を探し当てる旅をサポート。Koisuruレーダーがコンパスとして目指す方向をスマホに表示。

いかがでしょうか?
みなさんも自ら使ってみたいと思わせるサービスもあったのでは!?
たった二日間で実際に動くプロトタイプまで作ってしまうのですから驚きです。

■優勝は、どのチーム?

難航した審査経て、飛行機、鉄道、自動車といった通常の旅の交通手段ではなく自転車に着目し、ユーザーが独自にルートを切り拓き、その情報を皆で共有できるところが高く評価された羽生JAPAN with BAチーム「TOHOKU BYCYCLE MAP」が見事、栄冠を獲得しました。

サービスとしての完成度の高さも、評価されたポイントでした。

20150504k
優勝した羽生JAPAN with BAチーム「TOHOKU BYCYCLE MAP」
(撮影:川本聖哉 出典:あしたのコミュ二ティーラボ)

■ハッカソンによる効果と課題

手探りの状態でスタートしたオープン・ハッカソン。
結果は、参加者の満足度やモチベーションUPはもとより、会社としてのメリットも多数見いだすことができました。

社会的なメディアの取材(AERA)による宣伝効果もあり、主催者に大きな気づきもありました。

201505slide

 

企業から見たハッカソンの効果

《会社としての効果》

1.ビジネスチャンス拡大

ハッカソンをキッカケに、新たな共創ビジネスが産まれる可能性があります。
また、ハッカソンやアイデアソンを条件にした商談も発生しています。

2.技術・サービスの新たな用途開発

自社開発技術やサービスの新たな活用方法の発掘・検証の場と考えることがで
きます。

また、休眠特許など、自社の保有するノウハウ・資産の転用も可能です。

3.人材育成

社外の多様な人材との交流による自社技術者の意識改革が期待できます。

《個人としての効果》

4.モチベーション向上

日常業務とは異なる体験による、モチベーション向上が期待できます。特に個人
の活性化には多大な効果があります。言ってみればプチ脳内革命です。

5.自身の客観評価

他者との技術力、ビジネス構想力、プロモーション力、プレゼンテーション力
の客観的な評価が可能になります。

このように多面的な効果がある一方で、運営面での課題も出て来ています。
以下は、最近感じている課題です。

1. 事前準備(仕込み)の手間
テーマの設定や参加メンバーの調整など、事前準備に時間と労力を要する。

2. 開催規模の制約
質の高いハッカソンを開催しようとすると一回の参加人数が限られる。

3. 権利関係の整理
ハッカソンで出たアイデアや技術などについての権利関係の対応が求められる。

4. ファシリテーター不足
ハッカソンのファシリテーターには、さまざまな知識や経験が必要となる。

5. チームビルディング
アイデアをカタチにして共有する為にはデザイナーやクリエイターが必須。

等々です。
もちろん、出て来た成果をビジネスに結びつけることができるか否かが、最大の課題ですが...

次回以降は、他の題材をもとに、これらの効果や課題を更に検証していきたいと思います。

(つづく)

がんばれパパクワッチ バックナンバー