加藤和彦　「女優志願」CBS/SONY　83（安井かずみ－加藤和彦）

80年代良質ポップの大傑作アルバム『あの頃、マリーローランサン』２曲目。
加藤和彦は、60年代末から70年代を通してフォーク、ロック、歌謡曲の世界を行き来しながら、日本のポップの土台を築いた大御所です。

そんな大御所が、もう特に新奇なことはやらずに、極めて良質なポップをサラッと余裕で作り上げたのが、『あの頃、マリーローランサン』。
高橋幸宏・矢野顕子・高中正義・坂本龍一など名うてのミュージシャンが決して自己主張せず手堅く絶妙なアンサンブルで「トノヴァン」の弱々しい歌をバックアップしています。

いつも人の目を意識した仕草をする「女優志願」の彼女を少し滑稽に思いながらも、可愛がっている。作詞はもちろん安井かずみ。適当に８３年当時のこじゃれた言葉をまぶしたあたりさわりのない感じです。