Pizzicato Five 「誘惑について」 (小西康陽-田島貴男)88SONY

なんと16年も続いたピチカートファイブの初期名作2ndアルバム 「Bellissima」2曲目。
個人的にリアルタイムで知り始めたのは、94年ごろ、小西氏と野宮真貴さんのデュオで渋谷系のベテラン的存在としてクローズアップされたころでした。

但し、当時はパクリッぽさとあざとさが、すごく嘘くさく感じてました。一般に薄っぺらい印象の深い渋谷系のアーティスト群のなかでも、アレンジといい、サウンドといい、冗談なんじゃないの?と思うぐらい主体性のない、気取り方。音楽をなめてかかるにも程があるんじゃない?

ところが、最近94年の「Overdose」とこの88年「Bellissima」あたりを良く聴いています。確かに今聴いても表面上は、あざとい。薄い。やっぱりちょっとヤな感じ。でも聴いてしまう。 もしかして、表面のあざとさはシャイなだけなのか?裏側につかみづらい底力をずっしり感じてしまう。

「誘惑について」は田島貴男ボーカル時代。オリジナルラブではソウル魂の入った男っぽいヴォーカルを聴かせる田島氏が、線の細い声で歌う。今では、本格を選んだ田島氏とフェイクを追求する小西氏の若き日の接点。薄い表面に潜む2人の才能の萌芽。