奥田民生 「股旅」 (奥田民生)98SONY

同名アルバム6曲目。『前進 前進 前進。』前進を3回繰り返すコーラスに導かれて始まる70年代時代劇風サウンド。木枯らし紋次郎、三度笠。当時の時代劇の音楽がどんな感じだったか覚えてませんが、多分それらの劇中音楽よりも、この曲の方がはるかにクオリティーは高いと思います。

まあ、ちょっとコミカルな味な変化球ですが、直球もすごく速い。アルバム中には芳醇に熟成されたバンドサウンドのロックンロールが並んでいます。
シンプルなロックンロールのバンドサウンドの方向性は大きく分けて2種類あると思います。「キレ」と「コク」。

「キレ」・・・・初期衝動の命じるまま、若々しい疾走感で、つんのめっていく。各楽器の音は、ケンカ腰で角つき合わせています。
「コク」・・・・気心の知れたメンバーが、多様な音楽を知り尽くした後にやっぱり戻ってくるオーソドックスなサウンド。じっくり煮込まれて絶妙な
味わいのスープ。

冴え渡るソングライティングによる名曲を具現する、奥田民生&ドクターストレンジラブは「コク」の世界最高レベルへ『前進』しています。