荒井由実 「曇り空」 (荒井由実)73ALFA

30年!以上にも渡って女王の座に君臨しつづけるユーミン。

シンガーとしても、ソングライターとしても、常に第一線のメジャーなアーティストとして存在しつづけるサマは、才能あるミュージシャンというより、デキるキャリアウーマンといった様相です。

きっと、自身の音楽活動にかかわるビジネスをがっちりコントロールし、テキパキとスタッフに指示し、バリバリと仕事をこなしているのでしょう。しかもビジネスは大成功している。
成功しているユーミンの音楽も当然、単なるマーケッターの「商品」ではなく、すばらしい音楽「作品」ですが、彼女の才能が最高に輝いていたのは、まだ10代の1stアルバム「ひこうき雲」です。

天才少女の、既に完成された詞とメロディー。

それをぶっきらぼうにバックアップする、細野晴臣率いるキャラメルママ。この超人的なセンスの演奏は「笑いの神」ならぬ「演奏の神」が降りてきている、としかいいようがありません。

手練れのミュージシャン達に立ち向かう本人の生硬なピアノ。「曇り空」で鳴る、絶妙なタイミングの細野氏のガットギター。人生の成功者は、「成功」の前にまず、「才能」を開花させていたのです。