Elvis Costello and the Attractions 「High Fidelity」(Costello) 80 F-BEAT
最近はすっかり大御所の貫禄を身につけているエルビスコステロ。
バカラックなどのもっと先輩の大御所とのコラボレーションでも堂々と渡り合っています。
そんなベテランがパンキッシュな怒れる若者であった時代。鋭い感性で佳作を量産し、いびつな存在感を露呈していた頃がありました。
「High Fidelity」はアルバム『Get Happy』に収録。このアルバムはモータウンなどのノーザンソウルのスタイルを踏襲しつつ、コステロ独自のソングライティングやアレンジを素直に、かつしっかりと溶け込ませています。そしてアトラクションズの荒っぽくも鋭くいなたい演奏。そこに鎮座する英国若者の少々穿ったヴォーカル。収録曲の20曲がポップかつマニックに連打されます。
ややもすると20曲が連曲のように心地よく聞き流してしまいますが、「オッ」という感じで立ち止まってしまうのが「High Fidelity」のピアノのイントロ。
太い指で弾いていそうな少々がさつで力強いコード弾きに従われ、低音で押さえ気味なコステロのヴォーカルが絡んできます。ドタバタなドラム。動き回るベース。後半で奏でられるオルガン。アトラクションズにとってもベストの演奏の一つでしょう。