Public Image LTD 「Flowers Of Romance」(Lydon/Levene)81Virgin

1977年、セックスピストルズはロックを「解体」します。この「解体」は多分に自浄作用といえます。既成の体制へのアンチとして登場したビートルズやストーンズも十数年後にはエスタブリッシュメントとなり、次の世代から見ると「既成の体制」となり、打倒の対象となる。

そうしたピュアで率直な自戒が発生したのは、そもそもロックが批評的な音楽であるからかもしれません。

そして、ジョンライドンはセックスピストルズさえも直ぐに解体します。
解体しただけではなく、「解体後」のヴィジョンを鋭く提示したのが、パブリックイメージリミテッド(PIL)でした。

『Flowers Of Romance』は最も尖鋭的なアルバムです。エセ原初的なドラムがドコドコ鳴るなか、ライドンの咆哮が炸裂する。ほとんどドラム
とヴォーカルしか音が鳴っていません。

いいメロディーとか演奏がうまいとか、そういう普通の意味での音楽的要素を全てそぎ落として、その精髄だけを盤に刻みつけた、極めて高度に批評的な音楽です。

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