浅野ゆう子 「こころはからっぽ」(橋本淳/萩田光雄)76RCA
1970年代、日本の歌謡曲は、筒美京平という不世出のソングライターを擁し、絶頂期を迎えましたが、そのキモは加工の巧みさ、にあります。
米国を中心とする海外の旬の音楽の意匠を、日本風に解釈し、取り込み、オリジナルとは別物の、親しみやすいヒット曲に仕立て上げるわけです。
「こころはからっぽ」は秀逸なディスコ歌謡。
洗練を続けるソウルミュージックのなかで、あくまで機能的に、下世話に徹したダンスミュージックが、ディスコですが、そのリズムとマナーを拝借しながら、日本風に、線を細く、小粋にまとめます。
名アレンジャー萩田光雄氏の紡ぐ、流麗なストリングスとフィルイン的に絡むピアノ。英米を凌駕する程の、録音芸術に対する完成度です。
十代の少女だった、浅野ゆう子さんのヴォーカルは、薄味にキュート。
和風ディスコに軽やかにマッチングしながらも、しっかりセクシーな余韻も残します。