The Velvet Underground 「Lady Godiva’s Operation」(Reed) 67VERVE
ルーリードの声は、禍々しい。
穏やかで平和な日常を脅かし、精神の安定をかき乱す声です。決して怒鳴ったり、ドスをきかせたりするわけではなく、「レディゴダイヴァズオペレーション」ではほとんど普通に喋っているだけというか、鼻歌程度のメロディーを口ずさむだけなのですが、確実に心の奥底を目がけて攻撃してきます。
60年代、ロックは、従来の音楽の「楽しさ」とか「悲しさ」とかいった情緒を徹底的に破壊しにかかったわけですが、その極北がヴェルヴェットアンダーグラウンドです。
メロディーとか和音とかリズムとか。そそういった音楽の基本的かつ本質的な要素を完膚なき程に解体し、動物的とも本能的ともいえる程の生々しくも分裂した、都市生活者の病んだ情念を、歪んだ音像にぶつけました。
ヤケクソのようにも聴こえる、ラフで攻撃的な演奏にその表層があらわれてはいるのですが、最も恐ろしいのがルーリードのヴォーカルです。
歌が上手いとかリズム感に優れているという技術的な側面を全く無視して、何かの軋轢を増幅して、攻めてくる。
ある意味に於いて、ここまで純粋に虚飾を剥ぎとった音楽は、全く他にはありません。
http://www.loureed.com/