吉田美奈子「かたおもい」(矢野顕子) 76RCA

1970年代中盤のティンパンアレー系のミュージシャンの枯れた完成度は、後にも先にも見られない、特異な現象です。

総帥ともいえる細野晴臣を始め、20代~30になるかならないかという年齢にもかかわらず、滋味あふれるアメリカのルートミュージックを独自に咀嚼し、日本のロックを形成するのに、貢献しました。

吉田美奈子のこの曲でも、ニューオリンズのリズムをマイルドに仕上げ、歌謡曲フレイバーさえふりかけています。

少しエキセントリックながら、奇妙なポップさを湛えるメロディと、正確にリズムキープしながらもめくるめく豊饒さを醸すピアノプレイを繰り出す矢野顕子。コクの深いヴォーカルで応戦する吉田美奈子。

卓越した才能を持つ2人の大御所の若き時代のバトルが、聴きどころです。

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