Brian Eno 「Energy Fools The Magician」(Eno) 77EG

英国ロックの異才プロデューサーとして、数々の名盤を残したブライアンイーノですが、実は自らヴォーカルを取ったリーダーアルバムも数枚残しています。 
 
1977年といえば、デヴィッドボウイとベルリンでコラボレーションしていた時代ですが、この曲の佇まいも、欧州深部の厳格かつ内省的なトーンです。
 
フレットレスベースが不気味に蠢くなか、中世の教会を想起させるシンセのオーケストレーションが奏でられます。こうしたシンセの音色が孕む、真空の音像空間こそ、イーノの長いキャリアを象徴します。
 
ロキシーミュージック時代にしろ、ボウイのベルリン三部作にしろ、U2にしろ、相当な実力を持つソングライターの暗部に潜在する虚無を、真空的な音像空間に創出させたことを想起させられます。