松田聖子「ガラスの入り江」(松本隆/大瀧詠一) 81 CBS/Sony

妖精が宙を舞い、雨上がりの虹が輝き、ウブな少年との初恋にときめく。
作詞の松本隆と作曲/編曲の大瀧詠一が、ギミックなしの超ドリーミーな世界に、真っ向から挑みかかります。

はっぴぃえんどのメンバーとして、世を斜に見たバンドマンだった二人が、見事に方向性を180度変換しているわけです。しかしこれは、割り切った雇われ仕事では、決してありません。

うら若き頃、ドメスティックな日本の空気を徹底的に拒絶し、日本のロックの黎明を切り拓いた彼等は、そのままオルタナティブな存在であり続けることよりも、新しいメインストリームに本気で切り込むことを選択したわけです。

といった男性的な論理を本能的に理解し、易々と凌駕してしまったのが聖子さんの存在感でした。

男性への媚びを存分に孕みながら、その出し入れを絶妙にコントロールするヴォーカリングは、名うてのコンポーザ入魂の仕事を両脇に従え、堂々と中心に鎮座し、最高品質のアイドルポップスのプリンセスとして、可愛く君臨しています。

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