Paul Weller 『Peacock Suit』(Weller) 97ISLAND
ポールウェラーは、スタイルカウンシルの解散前後、シーンの評価が暴落し、過去の人扱いされていました。しかし、当時彼はまだ、30過ぎだったのです。
十代でデヴューし、若くして大きな音楽的達成を果たしただけに、スランプの訪れも早かったということでしょうか。ただし、私は個人的に当時の作品も過渡期の豊かな味わいに溢れていると思いますが。
さて、ここからが凄かった。
ジャム時代の向こう見ずな勢いも、スタイルカウンシル時代のスノッブな機知も失われてしまった。一瞬のひらめきや神通力も蘇らない。
ならば、愚直に自分のやるべきことをやる。もうそんなに新しいことはやらない。
年輪が徐々に太くなり、声やギターに凄みが出ました。『Peacock Suit』はその一つのピークでしょう。虚飾をはぎとり、強靭にロックし続ける姿。
先人であるロックのオリジネイターが成しえなかった、前人未到の領域を今も開拓し続けています。