井上陽水 「帰れない二人」(井上/忌野) 73Polydor

昨年、井上陽水の「氷の世界」ツアーを東京国際フォーラムで観ました。
 
「氷の世界」をアルバムの曲順どおりに全曲演奏したのですが、よくある懐古趣味や縮小再生産とは全く異なり、深い円熟と更に増した凄みに圧倒させられました。
 
才能のある人がキャリアを積み重ねると、もうそれほど必死にならなくても、そこそこの曲は作れるし、演奏も出来るのだと思います。
 
また、大御所ともなれば、周囲も委縮してダメ出し出来なくなるのかもしれません。何より、もう経済的に余生は安泰です。
 
しかし、この人は違う。
 
ホンモノの狂気が、未だ内部に巣食い、日々のたうちまわっているに違いありません。
 
この内なる狂気を少しでも解放するには、音楽を作り、歌い続けるしか手立てがない。
 
そんな血のにじむ葛藤を40年以上続けて達成された成熟。まだまだこの先がありそうです。 
 
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