The Velvet Underground 『Sister Ray』(Reed/Cale/Morrison/Tucker)

音楽は、喜怒哀楽、様々な感情を強く喚起し、増幅する力を持っています。
 
例えば、黒人のリズムが醸成する高揚感。奴隷として連行されたアメリカ大陸に於いて、その濃度は極度に凝縮され、同時に洗練も獲得して、世界中の民族が感情を差配するほどに、普遍化しました。
 
ジャズ、ブルース、ソウル、サンバ。皮肉なことに、ポップミュージックはアフリカ人が奴隷となったことで、強力な化学反応を起こしたわけです。
 
そのただなか、これもネイティブではない、在米白人が生み出したロックンロール。
 
その本質は、破壊衝動と自己否定、なのですが、その本質を究極まで先鋭化したのが、ヴェルヴェットアンダーグラウンドでした。
 
『Sister Ray』のいくつかのライブバージョンを聴くと、それぞれ曲調も曲の長さも全く違います。
 
というより、曲調なんてものはそもそもなく、優れて攻撃的なカオスが、20分~30分、放出され続けます。
 
ここには、音楽的洗練だのテクニックなどという小賢しいものは全くなく、真の意味で知的な退廃を完成させています。
 
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