David Bowie 『Life On Mars』71RCA

今年になってから、ほぼボウイのことしか考えられません。いろんな種類の音楽が好きだったはずなのに、あまりにもレベルが違い過ぎると感じられるようになってきました。

『Life On Mars』。訳すと、『火星の生命』。
歌詞を読むと様々なイメージが乱立されて歌われているのですが、『火星』というキーワードが、ボウイの抽象的なセクシャリティのキッチュな確信犯ぶりを巧みに象徴しています。

大仰に美しい、ドラマチックなピアノバラード。可愛らしいとも言えるメロディーは、徐々にクライマックスへ向けて加熱するのですが、高音に向かううちに露呈してくる、ゲイフレイバー。

最後には、バイセクシャルな露悪性を全く隠さず、全く独自の普遍へと到達しています。

自らの、あまりにも混沌とした抽象性を普遍化するために、ポップミュージックというフォーマットの下世話な瑞々しさを見事に活用した、奇跡的瞬間です。