Perez Prado 『Besame mucho』(Velazquez)
アメリカ大陸における人種の異種交流により、音楽の爆発的な革新が起こり、ブラックミュージックは21世紀において、完全にポップミュージックの核心となりました。
黒いリズムの影響を受けていない音楽はもはや存在しない、とも言えます。
但し、北米と南米ではその進化のスタイルは大きく異なりました。
テクノロジーとブラックネスの混淆が、オタクとマッチョのハイブリッドをグローバルに生み出した北米。
露天の平和なダンスに下世話な酒場のエロさが絶妙に深化した南米。
キューバから、アメリカ、メキシコと転戦したペレス・プラードは、後者のゆったりとしながら、湿度高く糸を引くリズムは、ジゴロの爛れた性欲を象徴しているのですが、反転した健康さをも想起させ、人種ハイブリッドのしたたかさを見事にエンタテイメント化しています。