9月8日、台風の接近が伝えられるなか、新宿文化センターで、高橋幸宏を観ました。
長いキャリアのなかでも、80年代の曲をフィーチャーした内容で、無機質なニューウェイブサウンドを楽しめる珍しいコンサートでした。

ライブ中盤、幸宏氏自身がドラムを数曲叩いたのですが、初めて聴いた高橋幸宏の生ドラムは、やはり唯一無二のビートでした。

華奢な体躯から叩き出されるビートは、決してパワフルではないかもしれませんが、鋭い日本刀のような殺傷力の高い攻撃性と、世の安易なコンセンサスを憎悪する破壊力に富んでいました。陽気に収穫を祝う祝祭のリズムではなく、敵の要塞を破壊するときの打撃のビートです。

しかし、スタイリストである幸宏氏は、暗い攻撃力をストレートに表現することはなく、さまざまな音楽を咀嚼してきた洗練で、スノビッシュにコーティングしています。

『Glass』こそ、ニューウェイブ期暗躍ビートの白眉。ロキシ―ミュージックのフィルマンザネラやアンディマッケイと作り上げたサウンドは、日英の産業革命的ファクトリーの工場音を想起させ、人類文明の進化を深淵に呪詛しています。

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