久しぶりに映画「戦場のメリークリスマス」を観た。ニ十回目ぐらいだろうか。ほとんどのシーンを記憶している。今回は、坂本龍一の特筆すべきアイドル性を再確認した。ビートたけしは、90年代ごろの自身の監督作での存在感のほうがより圧倒的だし、デヴィッドボウイは、彼にしては、かなり穏当な英国紳士ぶりだ。

それに比べて、メイクばっちりに衆道の伝統を体現する士官役をこなした坂本龍一の、ハッタリ感満載の美しさ。当時31歳、YMOで世界的名声を得て、最もスノッブなインテリジェンスを持つ男として、オーラ満開の時代だ。

坂本のアイドル性を愛でる映画の背景を彩る音楽も、坂本が作っている。ここまでナルシシズムを過剰に塗り込められても、絵になるほど、ヴィジュアルも音楽も素晴らしい。

Youtubeの「都庁ピアノ」で弾かれたり、病院の待合室で自然に流れていたり。この映画の主題曲は、今やスタンダードとなった。

うっすらと東洋的なフレイバーをまぶしつつ、一般にも圧倒的にわかりやすいメロディーは、繰り返し聴かれたり、演奏されたりすることで、更にその荘厳さがしみこんでくる。

日本の音楽史上、最も高貴で、かつ下世話な天才の最高傑作はまちがいなくこれだ。

https://www.skmtcommmons.com/