Sheila E. 「The Glamorous Life」(Prince)1984Warner Bros

1980年代半ば、プリンスは世界の音楽の頂点に鎮座していました。孤高の存在として、数多の普通の天才を遥かに凌駕した境地にいたのです。

当時高校生の私は、殿下のアルバムが発表される度に、その圧倒的な創造性に驚愕させられていたのですがが、その間隙を縫って、美人パーカッショニスト、シーラEがデビューしたのです。

プリンス&レヴォリューションのギタリスト、ウェンディ、キーボーディスト、リサもそうですが、殿下の女性の好みは、無個性、無機質。ノーブルな顔立ちは好色そうなオーラを放っているのですが、声が、無個性、無機質。

「グラマラスライフ」は、いかにも当時の殿下らしい曲調。単調で抑揚に乏しいメロディーと、マシーナリーなリズムに、シーラの程よくラテンなパーカッションが絡みます。

そして、シーラの無機質で酷薄な声。殿下のネバネバの情緒たっぷりな声に対して、彼女の声、歌い方は、下々を見下ろす貴種の冷たい残酷さ。

無個性を貫く手法も、ポップミュージックの王道の一つです。