第8回 庭にプールを作る

家の庭にプールがあったら、一泳ぎしてから出社したり、暑い時ザブンと飛び込んでから眠ったりできるな。

家を買った時からこんな野望を抱いていたのですが、なんせこの家、直す場所が多すぎます。
キッチン、お風呂、壁紙等々。

プールは優先順位リストのずっと下の方にあって、何年か経たないと実現不可能な夢だった、はずなのですが・・・。

ある日、なんとなくフランスのホームセンターのサイトを見ていると、プールキット半額の文字を発見。

ちょうど欲しかった大きさのものが、4000ユーロ→2000ユーロ(日本円で20万円位)に大ディスカウント!

日本のホームセンターにはビニールプールぐらいしか売っていませんが、フランスではプールがある家は珍しくはありません。
本格的なプールキットを購入してDIYで完成させる強者も結構います。

プールキットは人気商品で、ここまでの割引はめったにないのです。

フランスのプールキットの主流は、地面を掘って木枠を作り、そこにライナーという厚い特殊ビニールを貼って作るタイプ。

日本の学校にあるようなコンクリートタイプよりも簡単に作ることができ、要らなくなったらライナーを切って水を出して穴を埋めれば元に戻せます。万が一家を売りに出すことがあってもプールどうしよう、といった心配がないのは気が楽です。

結局、半額プールキットを衝動買いしてしまい、すぐには工事しないで家の中の工事を優先させると約束したものの、届いてみると、これまた想像以上にデカイ、かさばる。
物置にも入らないので、いっそのこと作ってしまおう!ということでプール作りがスタートします。

プールの大きさは6m×4m、深さ1.5m。
クロール3かきで端から端まで行けるくらいです。
深さの半分が地上に出ているタイプなので、最低80センチまで穴を掘らなくてはなりません。

当然、プロに重機を使って掘ってもらえば楽なのですが、優先順位の低いプールを衝動買いしてしまった負い目もあり、手作業で穴を掘ることにしました。

季節は冬。
土が乾燥していて重さがない分、穴堀りに適した季節です。
地道に掘れば、夏にはプール開きができます。

穴堀りって、掘り進める作業よりも、堀った土を運搬するのが大変なんです。
土は家の反対側の小さな庭に猫車でせっせと運搬してガーデニング用にリサイクル。

銀行強盗や脱獄を穴堀りをして成功させる映画を見たことがありますが、ものすごい根性がなければできないことです。犯罪以外にその根性を使えば良かったのにね。

冬休み中の子供たちにも手伝ってもらい、穴堀りは約2ヶ月で完了。

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ライナーを保護する為に砂を敷き詰めます。あまりに大量だったので、馴染みのセメント屋さんに砂をトラック1台分運んでもらいました。

側面にキットの木枠を組み立てます。

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さすがDIY 大国フランス製だけあって、とても良く出来ています。
わずか1日で枠組完了。単純な労働からやっと大工仕事になってきた!

いよいよ緊張の作業、ライナーの敷き込みです。
バカでかいビニールを枠ぴったりに合わせて敷き詰めます。小人になって人間用のベットにシーツを敷いているイメージ。
やり直しがきかない一発勝負なので集中して挑みます。ライナーの端を木枠に引っかけて水をいれます。
すると水の圧力でライナーはピーンと張られてプールらしい形になっていくのです。

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このライナーの面白いところは常に水を入れた状態にしておかなければいけないということ。
シーズンオフ中も水を張った状態でカバーをかけてお休みします。

フィルター機能もあるので、塩素で消毒すれば水替えは1年1回でいいんです。
プールを満タンにした月の水道代はプラス3000円でした。日本の水道代は安い!

プールは完成後も掃除や水の衛生管理など日々のメンテナンスが大変です。風が吹けば落ち葉が入るし、雨が降れば水質検査をして薬剤を追加しないと直ぐに苔が発生します。

想像していた優雅なプールライフではないけど、初めてプール開きした時の子供たちの笑顔は忘れられない思い出です。

スカッと晴れたさわやかな朝も、寝苦しい夜も。自分の好きな時間にプールで泳いでいると、なぜか「自由だー」っていう気持ちになれるんです。

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次の工事はそろそろキッチンやらないと。
奥さんの視線がコワイです。