GO WEST 「We Close Our Eyes」 Cox/Drummie (85 Chrysalis)

ゴー・ウエストはピーター・コックス(Vo,G,Key)、リチャード・ドラミー(B,Key,Vo)の英男性2人組。

1stアルバム『Go West』の1曲目、デビューシングルが 「We Close Our Eyes」です。
短髪・マッチョなコックスが短いスタンドのマイクでシャウトし、長髪・優男のドラミーがギターのカッティング。

2人が左右から現れては消えるプロモーションビデオがよくテレビで放送されてました。
この曲は結構ヒットした筈ですが、その後、全く名前を聞かなくなり、消えました。

私は昨年ぐらいからこのアルバムをよく聴いていますが、一言でいうと、ダサいサウンドです。思いっきり時代遅れ。いかにも80年代半ばにありがちな音。

ABC、OMD、ヒューマンリーグといったエレポップ60%、XTC、ポリス10%、MTVライクなアメリカ志向30%。同年代でいうとティル・チューズデイやジェネラル・パブリックにも近い。

ダサいんだけど、ダサさに迷いがない。ダサさに切れ味がある。
このダサいシンセはヒップホップが駆逐してしまったと言えますが、ダイナミックに聴き手をグイグイ引き込んでくる音です。力がある。「A級のダサさ」を獲得している稀有のグループです。

超人的な才能を持った天才でもなく、誠実な人柄が滲み出る人徳でもなく、努力によって能力を獲得した職人でもなく、強烈な個性が熱狂的に崇められるカルトでもなく、時流にうまくのるトレンド屋でもない。
センスの良さで勝負しようとしているんだけど、大きくピントが外れている。

だけど迷いがなく、力強い。 

「A級のダサさ」はそうそう身につけられるものではありません。